「クセがすごい!」ネタでブレークした千鳥が今、関東ローカルの街ロケ番組「いろはに千鳥」(テレ玉)で、メキメキ腕を上げ、気づけばキー局の番組でも「ロケが一番面白い芸人」として引っ張りダコだ。そのかげには、人知れず芸人として「筋力」を蓄える涙ぐましい努力があった…!?

――「いろはに千鳥」(テレ玉)での無茶ぶりロケが話題ですね。2014年の放送開始から足かけ4年、5月末に最新DVD(「ぬ」「る」「を」)がリリースされ、現在12巻にも及ぶ番組に成長しましたね!

大悟:僕、一般の人から「『いろはに千鳥』見てるよ」って一人も言われたことないんですよ(笑)。それなのに、芸人とか、テレビ局や業界の人とか、皆さん僕らの仕事で一番「いろはに千鳥」を知っていてくれているんですよね。だから関係者の人は目をつけていてくれるんでしょうけれど…なぜ一般に広まらない!?(笑)

ノブ:当初、関東初の冠番組!と言われて、東京かと思ったら…埼玉やん!って。しかも初回、テレ玉さんに行かせてもらったら、ちょっと大きめの歯医者くらいの社屋で(笑)。あ、今は改装されて増築されたらしいですが、そこからのスタートですから。元々1クール(3カ月)限定と聞いていたのが、視聴者さんの声で復活して。今では何か、腐れ縁というような存在ですね。何より怖いのが、最初「1日8本撮りです」ってシレッと来たんですよ。予算がないんで当たり前に、みたいな感じで。それを俺らがブーブー文句行って、「アメトーーク!」(テレビ朝日系)とか他の番組で言い出したら、最近それをネタにしだしたんですよ。

大悟:8本撮りが、いまやいい、みたいな感じになってきて。

ノブ:良くない!

大悟:1本もテンション高いのなんかないですけどね、1本目から8本目まで。だから基本、態度も良くはないですよね。

ノブ:全てはね、もうちょっと穏やかなスケジュールだったら、うまーくいけるんですけれどね…それに尽きますね。でもまぁ、低予算ということでやっていますからね。ADの女子とかも、気づくと辞めてますしね(笑)。

――確かに、30分番組の「1日8本撮り」って、想像を絶します…早朝から深夜までですよね?

ノブ:俺らを困らせて、追い詰めて嘆かせようっていう、悪い演出家がいるんですよ。

大悟:台本もないし、「ここに向かってください」ってゴールもないですよ。作家がおるんかどうかも分からない。妊婦の記念写真撮影ごっこをした回なんて、ただもう僕がノリノリになってツッコまれる、という図式を作るしかなくて。なーんも決まってないから、とにかくこっちがやるしかないんですよ。

ノブ:やらないと8本終わらないですからね。カットする余裕なんかないから、トイレ休憩まで撮られるし、エンディングになっていきなり「2分足りないから2分適当にしゃべってくれ」言われるし。

――そこに食らいついていくお2人の姿が、業界内で話題になった、と。

ノブ:「いろはに千鳥」に出ていることで、テレビに呼んでもらえることも増えたんですよ。「アメトーーク!」の「地方番組芸人」企画とか、意外に、この番組のネタをしゃべりに行くことも多くて。東京のテレビの人がバカにしているみたいなんですよね。「8本撮りしてるらしいで、あの番組」て。

大悟:ある意味、助かるんですよね。

ノブ:だからいま、軸は何かと聞かれたらやっぱり「いろはに千鳥」になるんじゃないですかね。

――スタッフが泣いて喜びそうなセリフですね!

ノブ:いやいや、それはねぇ(と袖にいる番組スタッフをチラリ)。

大悟:やっぱり、最初に呼んでくれたのが「いろはに千鳥」ですからね(チラリ)。

――そのお陰でか、「ロケをさせたら一番面白いコンビ」との異名もついたとか。

ノブ:いや〜、アスリートで言ったら、「いろはに千鳥」が筋トレみたいなもんでね。やらないと終わらない!っていうのを毎回やっているうちに、知らん間に、自然にできちゃっているのかもしれないですね。コツなんてないんですよ、ただやるだけ! あ、でもね、この番組の変な影響もあって…千鳥でロケをする時は、変な衣装を着せたらえぇんやて思われて、変な衣装の番組が多いんです。広島でやってるロケ番組(「街頭TV出没!ひな壇団」RCCテレビ)なんか、いまどき赤と青の海賊の衣装ですからね! 海賊て!

――でも「ゴッドタン」(テレビ東京ほか)でノブさんが「ノブはピンでは呼ばれんのです!」って衝撃の告白をされてた頃から、格段に状況が変わったのでは?

ノブ:そうなんですよ…だからね、芸人てのは、何でも思うことを言ったらえぇんですよ! 8本撮りはしんどいとか、恥ずかしいこともさらけ出して。よく「じゃない方芸人」とか言うじゃないですか、開き直れ!と言いたいですね。

取材・文=magbug