2016年度にBS・CS(有料多チャンネル)で放送されたオリジナル番組の中から、優れた番組・企画を表彰する「第7回衛星放送協会オリジナル番組アワード」。オリジナル番組部門の1つであるドラマ番組部門で「ドラマW 稲垣家の喪主」(WOWOWプライム)が最優秀賞を受賞した。

あがり症の小学2年生の宙太(ちゅうた)が、同居する伯母と叔父の喪主あいさつまでしたくないと、自分の将来に不安を抱き、それを解消するため伯母と叔父を結婚させようと奮闘するホームコメディーだ。同番組のプロデューサーであるWOWOWの堤口敬太、宙太を演じた7歳の金成祐里(かなり・ゆうり)、その伯母・杏子を演じた広末涼子に出演の感想や作品への思いを聞いた。

■ 最初に、ドラマ番組部門最優秀賞を受賞された感想を聞かせてください。

堤口「このような賞をいただいて、たいへん光栄です。このドラマは、まず小山ゴロさんの脚本がとても面白かったんです。演出を英勉(はなぶさ・つとむ)監督にお願いし、“平成の寅さん”(渥美清主演の映画『男はつらいよ』シリーズ)のようなドラマを作ろうということになりました。WOWOWのドラマは社会派の作品が多いのですが、今回はハートフルなホームコメディーで受賞できたのがうれしいですね」

■ 金成くんと広末さんが出演するまではどのようなプロセスがあったのでしょうか?

堤口「宙太役では子役のオーディションを数回実施しました。もちろん、オーディションには、演技の経験が豊富な“ザ・子役”という感じの子も来てくれたけれど、金成くんの演技はとても自然だったんですね。宙太は、自分で行動を起こしたくてもうまくできない。そのもどかしさを体現できる子がいいと思って、金成くんにお願いしました」

金成「選ばれて、お母さんが『宙太役に受かったよ』と教えてくれたとき、すごくビックリしました。うれしかったです」

堤口「そして、広末さんに杏子役をお願いしたのは、最近なかなか家族もので温かいドラマがないと考えたときに、やはり本作のヒロインは愛されるキャラクターにしたかったんです。広末さんが今まで演じてこられたような、かわいらしい中に愛情もある女性にしたいと思ってお願いしたら受けてくださって、うれしかったです」

広末「いえいえ、そんな。杏子は自由奔放でストレートな女性でもありますよね。演じていてすごく楽しかったです」

堤口「未婚ですが、稲垣家に出戻ってきた娘で、家での生活態度はダメダメなんですが、人情味あふれる人で、家族みんなに愛されているんですよね」

広末「久しぶりに痛快な役でした。ここ数年は、私の年齢もあると思うんですが、母親など背負うものが大きい役が続いていたんです。でも、杏子は、世間がこうあるべきと課してくる女性像から逸脱して『そんなの関係ない!』と行動できる。演じている私が痛快なのだから、見ている人も気持ち良いだろうなって思いました」

■ ドラマの中で思い出に残っているシーンはどこですか?

広末「杏子がある男性に飛び蹴りをした後、一緒にいた宙太が彼に豆を投げる場面。金成くんは監督のカットの声がかかるまで、目がウルっとするぐらい本気で豆を投げていました。金成くんは私と彼のやり取りを見ていて、“伯母さん”がひどい扱いを受けているのが悔しかったんでしょうね。やっぱり小さくても男の子だから伯母さんを守ろうという優しさがあるんです」

堤口「あの場面の金成くんはすごかったですね。本気で怒っていて、顔が真っ赤だった。スタッフもみんなびっくりして、幼いながら演技者としての才能を感じました」

金成「あのときは、本当にカーっとなっちゃったのかも…」

広末「そういう正直な感情も演技として出せて、それを英監督がちゃんと拾ってくださる環境でしたね」

■ 漫画や小説のドラマ化が多い中、オリジナルで作る意義をどう考えますか?

堤口「原作ものも面白いんですが、やはりオリジナル企画にはドラマを作る醍醐味があると思います。それに正直、制作者としては、オリジナルなら脚本家と話し合っていけば自由に作れるというメリットも感じますね」

広末「私は、小説などの原作がある作品でも脚本を最初に読んだときの感覚で演じるようにしています。ただ、原作の読者は十人十色のイメージを持っていらっしゃるので、やはり配役にしろ演出にしろ、ハードルは高いですよね。オリジナルの場合、そのプレッシャーがなく、すとんと役に入れる感じはします」

堤口「そうですよね。このドラマでも、最初から宙太は金成くんだし、杏子は広末さんとイコールになるので」

広末「今回、家族三代のキャストがみなさん本当に温かい家族のようになって、打ち上げのときも、『これ、シリーズ化できるんじゃない?』なんて言っていたんですよね。宙太がどこかに大冒険に行くとか…」

金成「続きでは、行ったことのないところに行きたい!」

堤口「いいですね。パート2でも宙太くんはずっとどもっているし、杏子さんも相変わらず失恋しているという(笑)。オリジナル企画だけに、続編が実現したらうれしいです」