70年代の特撮テイストたっぷり、両肩に油揚げを乗せた狐のヒーローがこの夏、誕生する。

新潟テレビ21では、8月12日(土)深夜2時から6日連続で特撮ドラマ「炎の天狐 トチオンガーセブン」がスタート(開始時間は各話異なる)。

物語の舞台は新潟県長岡市の栃尾地域。実は栃尾には遥か昔から邪悪なるヤマタノオロチが封印されていた。蛇王一族の首領ゲドロンはヤマタノオロチを復活させ、その強大な超能力と“魔獣人”とを巧みに操り、この世の中をよこしまに満ち満ちた暗黒郷世界を創ろうと企む。そんなゲドロンの邪悪な野望を打ち砕くため、神の狐・天狐と宿命の栃尾人・星狐太郎とが融合した“トチオンガーセブン”が立ち上がる!

この新潟発の特撮ヒーローを演じるのは、栃尾で実際に油揚げ店「毘沙門堂」を営む星知弘さん。47歳にして主演のみならず、原作(「とちおそうじ」名義)・脚本・造形・スーツアクターとトータル5役を兼ねている。

「70年代の特撮を見て育ってきたのですが、4年前『新しいヒーローをやらなければ』という使命感に駆られたんです。それも映像・音楽・造形全てやろうと。そこで2年前に主題歌をまず作りました。次に映像を作ってYouTubeにでもあげようかと思っていたのですが、『テレビでやりたい』と欲が出たんです。でもそううまくはいかず足踏みをしていたのですが、昨年11月に新潟テレビ21の方と知り合って…」(星さん)。この出会いを機に、星さんの願いはとんとん拍子に形になっていく。

■ 炎天下、5日連続の撮影

そして4月中旬、星さんが5役を兼ね、撮影が始まった。しかも5日連続の撮影だったという。炎天下、星さんは顔を出しては主人公・星狐太郎を演じ、スーツに身を包んではトチオンガーセブンを演じたのだ。初回のバトルシーンのロケ地はダムの上。撮影は危険極まりなかったという星さんは振り返る。

しかし、星さんには同世代に対する熱い思いがあった。「私と同じ40代・50代について、いい話をあまり聞きません。暗い話題が多い中、私が死に物狂いでやっている姿を通して、同世代の方々を勇気づけられれば」。

さらに、同世代の人が本作を見て「あれ、昭和の特撮ドラマが再放送されている」と思わせたいと願うものの、「カッコいいヒーローは嫌なんです」とキッパリ言う。「作りたいのは、あくまでもB級ヒーロー。ヒーローの生きざまでカッコいいと思わせたい」。

■ 動物の殺処分をなくしたい

一方で、子供たちにはトチオンガーセブンが死に物狂いで戦う姿を通して、社会問題をストレートに見せたいと星さんは語る。

「とりわけ動物の殺処分問題について考えてもらいたい。人間に飼われていた動物が保健所で殺されることなんてなくしたいんです」(星さん)。第3・4話のエピソード『哀しみの犬魔獣人』には、そうした思いがかなり強く込められている。

プロデューサーの岩佐陽一氏によれば、この2話は「特撮ものと言うより『特捜最前線』(1977-1987年テレビ朝日系)などの昭和の刑事ドラマをイメージさせる」内容に仕上がっているという。

ヒーローの造形部分では、虎と狐の違いはあれど、70年代の特撮ドラマ「鉄人タイガーセブン」への愛にあふれている。またトチオンガーセブンの両肩に油揚げが乗っていることに注目。油揚げ職人を本職とする星さんは、トチオンガーセブンに神の使いという一面があることから、神へのお供え物=油揚げというイメージからこうなったと話す。

■ キャスティングにみる特撮愛・地元愛

キャスティングでも70年代特撮ドラマへの愛がたっぷり。「人造人間キカイダー」(1972-1973年NET[現・テレビ朝日]系)の伴大介や、「プロレスの星 アステカイザー」(1976-1977年NET[現・テレビ朝日]系)の島村美輝が出演。時代はずれるものの、「宇宙刑事シャリバン」(1983-1984年テレビ朝日系)の渡洋史も顔を見せる。

加えて、長岡市出身の防災ママタレント・橘亜実、新潟市出身の現役高校生・潮めぐみという2人の女優がデビュー。星さんが長岡市栃尾出身、前述の渡が新潟市出身で、三条市出身のアーティスト・音井ののも出演し、新潟色にもあふれたキャスティングになっている。最終話には、高見真二長岡市副市長もゲスト出演する(名字の「高」は、はしご高)。

「ジャパニーズ70年代特撮はお金がたくさんあっても作れません。愛が必要なんです」と星さんが語るように本作は、星さんと荒木憲司監督がこだわり抜いた“1970年代”のテイストが見どころ。アクションやCG(合成)、特撮もすべて手作りで、「一同ムキになってCGを使わないようにして」(岩佐P)完成した。今回は新潟でしか見られないが、今後視聴のチャンスがあれば、心たぎる主題歌を口ずさみながらトチオンガーセブンを応援しよう。