1999年にスタートしたテレビ朝日系のサスペンスドラマ「科捜研の女」(毎週木曜夜8:00-8:54)が、3月15日(木)の放送で通算200回を迎える。

沢口靖子演じる法医研究員・マリコが、京都府警科学捜査研究所(科捜研)の仲間と共に、法医や物理などの専門技術を駆使して事件の真相解明に挑む姿を描く。

歴史がありながらも、新しいものを取り入れていく姿勢に遊び心が垣間見える同作について、藤崎絵三プロデューサーに話を聞いた。

■ “ありえない話じゃないけど、ここまでだったらできる”ものを取り入れる

――遺留品の鑑定シーンは、視聴者をワクワクさせるような雰囲気になっていると感じるのですが、演出する上で意識していることはありますか?

鑑定シーンは「科捜研の女」の“アクションシーン”だと思っています。あのシーンを挟むことによって、確実に事件が解明に向かって一歩進む、ある意味での“必殺技”ではあります。東映のプロデューサー・塚田英明さんは戦隊シリーズをご担当されていたので、イメージしているわけではありませんが、リンクしている要素はあるかもしれないですね。

音楽はアニメやゲームから、ドラマ・映画まで幅広い作品を担当されている川井憲次さんの制作です。メインテーマは必ずそのシーズン用に作り直していただいているので、楽曲はどんどん蓄積されていっています。新シーズンになったから前シーズンの曲は使わないということはなくて、「このシーンだったらシーズン●●のテーマの方がいいね」と、使い分けながらやっています。

――第13話(2/15放送)では、プラネタリウムのアプリが出てくるなど、CGを積極的に使われている印象もあるのですが。

「科捜研の女」という作品を成立させるためには、実際に今、警察で行っている科学捜査より半歩でも進ませないと、正直、ストーリー展開がなかなかつらいんです。海外でリサーチが出ているものなど、“ありえない話じゃないけど、ここまでだったらできる”という新しいものはどんどん取り入れて、実際の捜査より先のことをやるようにしています。

プラネタリウムのアプリに関して言えば、新しい表現や面白い表現を意識する中で、これは視聴者に受け入れてもらえるラインかなと思って取り入れました。常に最新の科学捜査や科学トピックを取り入れていかないと、どんどん飽きられてしまうコンテンツになってしまうので、そこはすごく意識していますが、その新しさが視聴者にきちんと伝わるようにかみくだいて説明するということには気を遣います。

――やはり、歴史のあるドラマなので、新しいトリックやストーリーを考えるのは大変なのでしょうか?

トリックもそうですし、まず、同じ話は作れないということがあります。科学だけではなくて、今シーズンの“民泊”だったり、旬なネタや時事トピックは常に取り入れるようにしています。そうじゃないと、やっぱり同じようなことの繰り返しになってしまうので。

あと、キャスティングでも悩みはあって、「ゲストにこの人いいな」と思っても、「実はシーズン●●でレギュラーだったんです」ということもよくあるんです。もう、最近は思い切ってキャスティングするようにしています(笑)。これも長くやっているドラマならではの困りどころかもしれないですね。

■ エルドビア共和国は「ある意味“(C)テレビ朝日・東映”の国名」

――シーズン16から“衝撃的なマリコのワンカット”企画が始まるなど、SNSでの宣伝にも力を入れているなと思うのですが。

エンディングと次回予告の間にCMが入るんですけど、そこであまり視聴率を落としたくなくて、“衝撃的なマリコのワンカット”を始めました。予告でも使いやすい画になるし、ちょっとでも次回予告を見てもらえたらうれしいなと思い、あの3秒を付けたんです。

ある日、この3秒がネットでバズり始めて、「あれ?」という感じだったんですが、これを宣伝戦略にして、SNS展開するという決まりにすればいいなと思いました。作品内容の紹介にもなって、宣伝戦略にも使えるツールとして重宝しています。

――第13話では、ラテ欄の“宇宙”と“巨大なバラ”というワードが「ゴジラ」の花の怪獣・ビオランテを連想させると、SNSで話題になりました

正直、ラテ欄がツイッターでバズるっていうのが、私の感覚的には意味が分からなくて(笑)。どちらかと言うと、ラテ欄は新聞をじっくり家で読むような中高年以上の方々が見るものだと思っていたので、それがツイッターでネタになっているというのは、ちょっと想像していませんでした。やってみるもんですね(笑)。SNSでバズらせようと思っていたわけではありませんが、決められた文字数の中で「どれだけ驚かせてやろうか」というのは、毎週、悪戦苦闘しているところですね。

――仮面ライダーオーズを演じた、呂太役の渡部秀さんが「バイクの方が格好良い」というせりふを言うなど、“科捜研”の外の世界に言及する“メタ”な視点も多いように感じます。

それは新しさというよりは、作り手としてちょっと楽しんでいるところですね。お客さんが引かない程度に、僕らは僕らで遊べればいいなという思いでやっています。土門(内藤剛志)さんが出張で東京に帰るときに、蒲原(石井一彰)に「捜査一課長直々の指名らしいな」って言わせたり。それでお客さんも一緒に楽しんでくれればいいなという思いですね。

※編集部注…内藤は同局の「警視庁・捜査一課長」シリーズで主演を務めている。

――「科捜研の女」と「相棒」(テレビ朝日系)シリーズにも登場する架空の国“エルドビア共和国”も、その点では一緒なのでしょうか?

あれは作家さんが一緒なんです。櫻井武晴さんとか、戸田山雅司さんとか、元々「相棒」を担当されていた方が科捜研も担当していたりするので、ある意味“(C)テレビ朝日・東映”の国名というか。東映世界の中だけに存在している、麻薬を栽培していて、悪い人がいっぱいいる架空の国です(笑)。「相棒」とファン層がかぶっていると思うので、両作品を楽しんでもらえればいいなと思います。

逆に言うと、「これを『相棒』の人たちにも引き継いでほしいな」って思います。「科捜研の女」と「相棒」の共有財産として、これからもお互いに勝手に設定を付け加えていきたいですね(笑)。

■ 「我々も“ドモマリ”って言っています。ある意味、公認です(笑)」

――登場人物に関するところでは、マリコと土門の関係が“ドモマリ”と呼ばれたりもしています。

チャンスがあれば視聴者にドキドキしてもらえるようなシーンは意図的に作ろうと思っています。ただ、実際に演じているお二人が「“ドモマリ”はくっ付くことはない」という意識を何となく持って演じていらっしゃるので、少しやり過ぎくらいに書いて、お二人が引き算をしてくれてちょうど良い具合になっています。

でも、本筋を曲げてまで“ドモマリ”のそういうところを描こうとは思っていないです。ある意味、僕らも視聴者と一緒にそれを楽しんでいるというか、「どんな反応になるかな?」という部分も含めて、楽しんでいる部分はありますね。

“ドモマリ”というフレーズは、最近SNSやネットでそう言われるようになって、我々も“ドモマリ”って言っています。ある意味、公認です(笑)。最近は、風丘先生(若村麻由美)とマリコの2ショットを“カザマリ”って言うらしいです。

――最後に、通算200回となる、3月15日(木)放送の第17話についてお聞かせください。テーマは「働き方改革」ということですが。

マリコたちには、犯人を逮捕しなくてはならない、事件解決を待っている人たちがいるから自分たちは寝食を忘れて鑑定をするという使命感が第一にあります。それに対する働き方改革で、言っていること自体は正しいんですけど、“間違った運用をするとどんなことが起こるか”ということを、第17話ではテーマとして通したつもりです。

今の働き方改革の問題にある意味の答えを出しているというか、「無理にやろうとすると、こんなあつれきが起こる」「そうなったらどうしたらいいの?」という答えを「科捜研の女」なりに出しています。

テーマにしようと思った理由としては、社会の流れが一番大きいですが、第1話で江藤(中川大志)というキャラクターを出して、そのキャラクターと科捜研を対立させるときに、何で対立させるかというところで、“効率を求める現代的な働き方”と“科捜研の使命感に基づいた働き方”を対立させたんです。

本当はその1回で終わる予定だったんですけど、第1話をああいう形にしたことによって、逆に働き過ぎて科捜研のメンバーが倒れたとか、そういうところから始まる事件があってもいいなという提案が脚本の櫻井さんからもあって、それを実際にやってみたという感じですね。

実はこのシーズン17中に、一応、日野所長(斉藤暁)が倒れる伏線を張っていたんです。それをやっていたときにはもう第17話はこういう形にしようということは考えていました。働き方改革について、日野所長が結論に近いものを出しますので、それを楽しみにしていてください。(ザテレビジョン)