最終回の放送から2カ月が過ぎても、いまだ熱の冷めない「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)現象。同作の主演俳優として、田中圭も一躍、時の人となった。

「今日(取材日)から舞台の稽古も始まりますし、特に仕事のスタイルは変わっていませんが、取材だけはびっくりするぐらい増えました。今、こういう流れで一回くらいそういう経験をしておくのも、“アリ寄りのアリ”(『おっさんずラブ』のせりふ)かなと。僕自身はブレていないし変わっていないので、この先もし取材の数が減ったとしても、寂しいとは思わない。これまでも常に、淡々とやってきましたから」

今の自分を客観的に見ているような余裕。そんなクールな一面が、吉岡里帆主演のドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」(毎週火曜夜9:00-9:54、フジテレビ系)で演じる区役所生活課の“デキる男”京極係長に表れている?

「京極は『お金にシビア』と紹介されているけれど、そんなに冷徹な男とは思わないです。生活保護受給のルールには厳しいけれど、人間としては優しい。第3話では、ギターを壊した青年に自分のギターを譲ったり、第4話でも新人の七条(山田裕貴)に親身になってアドバイスしたりする。あの職場でも、人望は普通にあると思います」

ギターを持っていたのは京極が昔バンドマンだったからかと尋ねると、「僕は人物の背景をあまり考えないけれど、そうなんじゃないかな」と答えつつ、役柄について熱く語る。

「京極の短所は、正義感が強く、論理やルールを優先してしまうところ。既にある正解を導き出そうとしがちですよね。もともと生活保護受給者という他人の生き方に正解なんてなく、その人にはその人の思いがあるだけ。そこで『ルールがこうだから』って物事を進めていくと、相手を追い込んでしまいます。第5話以降、京極も失敗するし、ドラマが動いていきます。僕としては台本に描かれている以上の深みを出して、全10話を通して京極係長という一つのスタイルを見せたいです」

8月はドラマの撮影と舞台稽古を並行してこなすことに。多忙な日々をどう過ごしている?

「とにかく僕にはルーティンというものがなくて、俳優という仕事柄、毎日決まったことはやりません。仕事が終わって自宅に帰る前に、必ずワンクッション置くことぐらい。誰かとご飯を食べたり、友人のいるところに遊びに行ったり…。一人でいることはあんまりないです」

そう断言する田中は、寂しがり屋であるようにも思えるが、常に他人といても苦にならないという、突き抜けたコミュニケーション能力の持ち主とも言える。

「うーん、誰とでもすぐに仲良くなれるわけではないですが。ただ、少なくとも他人に対して閉じてはいないつもりです。そう言えば、先日、『ケンカツ』で共演している井浦新さんが勧めてくれた美術展に行ってみたんです。そういう場にいると、絵画を見る目的も人によって違うんでしょうし、いろんな人の物事の捉え方を広いクッションで受け止められる人になりたいなぁと思えました」

新しいことを吸収する力と、卓越した共感能力。田中が多くの人から愛されるのはそれ故かもしれない。

「ドラマ、映画、舞台でと、それぞれの現場に僕の芝居を気に入ってくれる人がいて、恵まれた状況だと思うけれど、褒められたとき、自分のどの部分を言っているのか、分からないんです。自分で『演技が下手だなぁ』と思ったこともないけれど、『俺、芝居うめえなぁ』と思ったこともないし、すごく普通にやっているつもりなので」

自分の才能に気付いていない天才型?と聞くと、即座に否定された。

「いやいや、努力型ですよ、僕は。そう見えないだけで、常にコツコツとやってますから(笑)」

「とにかく僕にはルーティンがない」と話す田中。日常生活について聞くと、田中らしい独特の答えが返ってきた。

■ 規則正しい生活はストレス?

特殊体質なのかもしれないけれど、早寝早起きをし、仕事して夜はジムに行くという規則正しい生活を送っていると、3日ぐらいで、顔にじんましんが出るんです。これ、冗談じゃなくて本当なんです。精神的なストレスなのかは分からないけれど、だから、あえて毎日、規則正しい生活を送らないよう心掛けているんです(笑)。

■ 朝起きて5分で出発

ドラマの撮影がある日は、起きたら着替えだけをして5分で出発。車の中で水と健康補助食品を取ってスタジオへ。洗顔と歯磨きはスタジオに来てからすることも多いです。朝ご飯はほとんどの場合、食べないかな。でも、「ケンカツ」のスタジオにはヤクルトが置いてあるので、ついもらっちゃう。体に良さそうですよね!

■ ジムに通うもノルマなし

「おっさんずラブ」で“謎のいい体”と言われましたが、ジムに毎週通っているわけではないです。週2〜3回行くこともあれば、1〜2カ月行かなかったりもする。たまにファスティング(健康目的の断食)をするので、その時期は運動するのもつらいけれど、ジム終わりには「いいことしている、俺」という達成感があります。(ザテレビジョン・取材・文=小田慶子)