CSフジテレビONEにて2012年より放送開始され、現在FODでも配信中の漫画専門番組「漫道コバヤシ」。お笑い界随一の漫画ファンとして知られるケンドーコバヤシが、有名漫画家の仕事場を訪ね、作品の制作秘話や私生活のエピソードを聞き出していくトーク番組だ。

世の漫画好きの間で絶大な人気を博すこの番組から、このたび新作DVDが登場。「巻四」「巻五」「巻六」の3巻が5月27日に同時リリースされた。

今回のDVDでは、「週刊少年ジャンプ」の歴史を支えてきた漫画家が続々登場する。「巻四」では「キャプテン翼」の高橋陽一と「キン肉マン」のゆでたまご(嶋田隆司・中井義則)、「巻五」では「ドラゴンクエスト−ダイの大冒険−」原作の三条陸と「約束のネバーランド」作画の出水ぽすか、そして「巻六」では「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の秋本治という、豪華絢爛な“作者降臨”が実現。

さらには3巻ともに、特典映像「クッキングパパジャーニー」を収録。ケンコバが愛する料理漫画「クッキングパパ」の作中で描かれる“タイ旅行”を追体験する旅の様子が収められている。

今回ザテレビジョンでは、“漫画大好き芸人”のケンコバに、リモートインタビューを敢行。それぞれの漫画家の印象など、番組の思い出を語ってもらうとともに、コロナ禍の中での“おうち時間”の過ごし方も明かしてもらった。

■ 「『ジャンプ』は一番長く読んでる漫画雑誌。注ぎ込んだ資金も相当なもんですよ(笑)」

――「漫道コバヤシ」のDVD化は、2014年に発売された前作(「漫道コバヤシ (巻一・巻二・巻三)」)以来、実に6年ぶりとなります。その間も番組は放送されていたわけですが、この6年のブランクには何か理由が?

ケンドーコバヤシ:もしかしたらなんですけど、可能性のひとつとしては、前の3巻が売れなかったんじゃないかと(笑)。DVDが出てたってこと自体、僕も忘れてましたもん。

――(笑)。今回の3巻の見どころは?

コバヤシ:今回登場するのは、王道の「(週刊少年)ジャンプ」の連載作品の作家の方々ばかりなんですよ。しかも伝説級の作品から今話題の作品まで、各世代を代表する作品を手掛けた先生たちを取材させていただいているので、かなり見応えはあると思います。

ジャンプ作品って、読んだことがある方は多いと思うんですけど、このDVDを見てから単行本を読み返すと「なるほど」と膝を打ってしまうような話を、作者の先生方がたくさんしてくださっているので、ぜひ単行本と合わせて楽しんでいただけたらと思いますね。

――やはり、ケンコバさんにとって「週刊少年ジャンプ」は格別な思い入れがある漫画雑誌なのでしょうか。

コバヤシ:やっぱり、一番長く読んでる漫画雑誌ですからねぇ。僕が小学1、2年生くらい、「Dr.スランプ」や「すすめ!!パイレーツ」が連載されてる頃から読んでましたから。そこから今に至るので、「ジャンプ」に注ぎ込んだ資金だけでも相当なもんですよ(笑)。

■ 「今でもコンビでお仕事されているゆでたまご先生はすごい。僕ら芸人の世界やったら考えられないです」

――今回取材している漫画家の方々の、それぞれの印象をお聞かせください。まず、高橋陽一先生から。

ケンドーコバヤシ:高橋先生は、わざとなのかもしれないですけど、“おとぼけ”な方でしたね。僕が「キャプテン翼」に関する質問をぶつけても、過去のエピソードをほとんど覚えてないんですよ。「僕は、あの回が好きで」とか言っても、「あぁ、そんなの描きましたかね」みたいな(笑)。天然の方なのか、僕を煙に巻いたのか、判別しづらいところがありますね。

――「翼と早苗の結婚式の集合写真に、森崎が写っていない」というケンコバさんからの指摘に対しても、確かに反応が薄かったですよね。「あれ? ほんとだ」みたいな(笑)。

コバヤシ:そうそう。「トイレに行ってたんじゃないですかね?」って(笑)。僕としては、森崎が結婚式を欠席してるっていうことには何かしら意味があるんじゃないかと思って探ったんですけども、高橋先生の単なる描き忘れという、衝撃の事実が発覚してしまいました(笑)。

――続いて、ゆでたまご先生ですが、嶋田隆司先生と中井義則先生のお二人がそろってテレビに登場するのは、かなり珍しいのでは?

コバヤシ:確かに、広報的な役回りはいつも嶋田先生が受け持ってらっしゃいますもんね。中井先生のお話が聞けるのは、けっこう貴重やと思います。中井先生は、いまだに絵の勉強をされているというお話も聞けまして、やっぱりすごい方やなと。

あと、お二人は、中学生の頃から漫画家としてコンビを組んでいて、そこからずっと関係性が変わらず、今でもコンビでお仕事されているっていうのがすごい。僕ら芸人の世界やったら考えられないですよ。完全に口を利かなくなったコンビなんて、これまで数百組は見てますから(笑)。「週1回会うだけ」っておっしゃってましたけど、それくらいの距離感がちょうどいいのかもしれないですね。

――続いて、三条陸先生。脚本家としても活躍されているだけに、とてもロジカルにお話しされる方でしたね。

コバヤシ:そうなんですよ。「少年誌の場合、こういうパターンで行けば熱い展開に持っていける」とか、しっかりと理論も持っておられる方で。僕みたいな漫画ファンだけじゃなく、プロの漫画家を目指している人も見るべき回だと思います。

――中でも、「ジャンプ作品には、“最初はどすこい”という法則がある」というお話は興味深かったです。

コバヤシ:次々に敵キャラを登場させるとき、一番最初は“どすこい”系の、体が大きくてパワーのあるヤツを出す、というね。言われてみれば、バトルものの漫画って“最初はどすこい”ですもんね。ジャンプに限らず、少年誌の鉄則なんじゃないですかね。

――そして、出水ぽすか先生は、フルフェイスのヘルメットで表情は見えませんでしたが、ハイテンションな方でした。

コバヤシ:はい、イメージと違いすぎてびっくりしました(笑)。結局、素顔もわからないままですからね。

――「漫道コバヤシ」では、これまでにも覆面で登場した方は…?

コバヤシ:ええ、何人かいらっしゃいました。ほとんどの方が「恥ずかしいから」という理由なんですけど、「闇金ウシジマくん」の真鍋昌平先生の場合は、顔を知られると裏社会の取材がしづらくなる、ということでしたね。

■ 「『こち亀』200巻を全部読み返して、ちょっと体調を崩しました(笑)」

――そして、「巻六」では、「こち亀」こと「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の秋本治先生が前後編にわたって“降臨”されています。

ケンドーコバヤシ:その後、何度か秋本先生にお会いしてるんですけど、この時が初対面だったんですよ。ほんまに感動しましたね。もうレジェンド中のレジェンドですから、僕も正直ビビってたんですけど、実際はすごく物腰の柔らかい方で、作風ともまた違った感じ、というか。

「こち亀」って、人情噺的なエピソードが特に人気があるじゃないですか。実際、そういう人情ものっぽいところがあるから、アニメも長く続いたんでしょうし、ドラマ化とか映画化もされたと思うんですけど、僕としては、どうしようもないギャグ、下ネタ、子供が見てはいけない花札の話とか、そういうのがあってこその両さん(※「こち亀」の主人公)やなって思うんですよ。で、秋本先生とお会いしたときに、先生自身も、そういう両さんが好きだっておっしゃっていて。それがすごくうれしかったです。

――素朴な疑問ですが、ケンコバさんは、番組収録の前にゲストの漫画家の方の作品を読み返すわけですよね? 秋本先生の場合は、この収録の時点で「こち亀」はすでに完結しているので、単行本が全200巻あったと思うんですが…。

コバヤシ:そうですよ。秋本先生が番組のオファーを受けてくださったという知らせを聞いたとき、「ということは、200巻読み返すんか」と。で、実際に全部読み返して、ちょっと体調を崩しました(笑)。でも、楽しかったです。特に初期の「こち亀」を久々に読み返すと、両さんがまだ荒々しくて、いいんですよ。タバコくわえて、ギャンブルをやって、拳銃ぶっ放してる頃の両さんを見て、斬新なキャラやなと改めて思いました。

――また、3巻の通し企画として、「クッキングパパジャーニー」と題し、「クッキングパパ」の荒岩ファミリーの旅行を追体験すべく、タイでロケを行っています。

コバヤシ:これは、今年の2月にタイに行って撮らせてもらいました。前に別の番組で「ジョジョの奇妙な冒険」に出てくる地を巡る「JoJoジャーニー」っていうのをやらせてもらったときに、「これ、他にもいろんな漫画でできるんとちゃうか?」ということになり、まず今回は「クッキングパパ」でやってみようかと。

――作者のうえやまとち先生からの了承は得ているんですよね?

コバヤシ:はい、もちろん。ただ、うえやま先生は不思議に思ってるみたいで。そらそうですよね、こんなに「クッキングパパ」をいじってくるヤツ、他におらんやろうし(笑)。でも「クッキングパパ」は僕だけじゃなく、うちのスタッフも大好きなんですよ。

――タイ旅行は満喫できましたか?

コバヤシ:タイには何度も行ってますけど、今回はうえやま先生が実際に取材したお店ということで、間違いなかったですね。美味かったです。

――ちなみにケンコバさんは、「クッキングパパ」を参考にして、ご自身で料理を作ることはあるんでしょうか。

コバヤシ:いや、それはまだ一度もないです。今は、自宅待機で料理する機会も増えてるんで、そろそろ挑戦したいなとも思うんですけど、「クッキングパパ」って家族の話だから、出てくる料理のほとんどが大鍋を使う料理なんですよね。ひとり暮らしの人間にとっては、ちょっとハードルが高いというか。だから、僕に家族ができたときに挑戦したいと思います(笑)。

■ 「漫画家の先生からサインをもらうことが唯一の目的(笑)。どんな苦労もいとわないんで」

――では、もう少し番組についてのお話を。ゲストの人選など、ケンコバさんからスタッフにリクエストしていることはあるのでしょうか。

ケンドーコバヤシ:スタッフがいつも、僕が会いたい漫画家さんを聞いてくれるんですけど、基本、忙しい方ばっかりなので、なかなか実現には至らず。割と投げまくってるんですけどね。だから、一回OKを出してくれた先生には、スタッフが死ぬ気で食らいついていくっていう。

――会ってみたい漫画家の先生は、まだまだいらっしゃるわけですね。

コバヤシ:はい。もう何人かは出演が決まっていて、中には、ものすごい先生もいらっしゃるので、楽しみにしていただければなと。

――これまでも、ケンコバさんが大好きな漫画家さんはたくさん出演されていますよね。例えば、「1・2の三四郎」の小林まこと先生ですとか。

コバヤシ:そうですね。「1・2の三四郎」は、僕のバイブルですから。でも僕、小林先生には訴えられてもおかしくないと思ってるんですよ。自分の笑いの基本は全部、小林まこと先生の作品から影響を…というか、パクらせていただいてるので。実際訴えられたら、間違いなく負けると思います(笑)。

――そういった憧れの先生方から、イラスト入りのサイン色紙をもらうことも番組の恒例行事となっていますが、ケンコバさんにとって、目的のひとつとなっているんでしょうか。

コバヤシ:目的のひとつというか、それがすべて。唯一の目的です(笑)。サインをもらうためなら、どんな苦労もいとわないんで。

――ところで、コロナ禍の中、どのように生活されているのか、教えていただけますか(※本取材は5月20日に行われました)。なんでも先日は、画面越しにイベントに出演する“リモート営業”のお仕事があったそうで。

コバヤシ:ええ、不思議な体験をさせてもらいましたよ。お客さんのリアクションがチャットで返ってくるっていうね。気を遣ってくれたのか、「笑笑」とか「wwww」とかいっぱい返してくれました。これから、ああいうイベントが流行っていくんですかね。結局、リモート営業っていうのはその1件だけで、他の芸人からも話を聞かないですけど。

――先ほどもお話が出ましたが、“おうち時間”が増えて、お料理にも凝ってらっしゃるそうですね。麻婆豆腐も、一から作られたとか。

コバヤシ:麻婆豆腐に限らず、いろんな料理を一から作ってるんですよ。基本、“男の料理”をコンセプトにしてるんですけども、昨日は女性っぽく、白菜のクリーム煮を作っちゃいました。それを「うん、美味しい」って言いながら、一人でパクパク食べて…さすがにちょっと恥ずかしくなりました(笑)。(ザテレビジョン)