山崎賢人が主演を務める映画「劇場」の公開日が、7月17日(金)に決定し、同日にAmazon Prime Videoにて全世界独占配信も開始することが分かった。行定勲監督や原作者の又吉直樹、「第92回アカデミー賞」で作品賞を受賞した映画「パラサイト 半地下の家族」(2019年)のポン・ジュノ監督からコメントが到着した。

映画「劇場」は、お笑い芸人で芥川賞作家の又吉による同名小説が原作。前衛的な作風が災いし、大衆に受け入れられない劇作家・永田(山崎)のジレンマ、そして、女優になる夢を持ち上京した学生・沙希(松岡茉優)との恋愛模様が描かれる。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、当初予定の4月17日から公開が延期されていたが、全国のミニシアターを中心とした劇場公開が決定。同時にAmazon Prime Videoにて全世界独占配信も開始する。

実写邦画が劇場公開と同時に定額制動画配信サービス上で配信されることは、日本のAmazon Prime Videoで初の試みとなる。

劇場公開・配信に向け、行定勲監督・原作者の又吉直樹からのコメントが到着。さらに、行定監督と親交があり映画「パラサイト 半地下の家族」で注目を集めたポン・ジュノ監督のコメントも公開された。

■ 行定勲監督コメント

私が監督した映画「劇場」が7月17日に公開されることとなりました。当初より規模は縮小されますが、ユーロスペースをはじめ全国20館のミニシアターを中心に公開します。それと同日に、Amazon Prime Videoにて全世界への配信が開始されます。

本作は公開直前に緊急事態宣言が出され延期を余儀なくされました。その後、延期を決めたものの思い通りの再公開の状況が作れないという問題に直面していたところに、Amazonから声をかけて頂きました。しかも公開と配信を同時にという私の希望を叶える形で。これはコロナ禍において私の作った映画がより観客に届くことを最優先させた結果です。

是非、渾身の想いでつくった映画「劇場」を映画館で、そしてご自宅で、皆様に観ていただきたいです。私たちスタッフ、キャスト一同の映画への想いが詰まった作品です。観客の皆様の心に響くことを信じております。何卒、よろしくお願い致します。

■ 又吉直樹コメント

映画「劇場」ようやく皆さんに観ていただけるようで嬉しく思います。

「劇場」は題名の通り、劇場を表現の場として演劇に青春を捧げる若者の物語であると同時に、小さな部屋を舞台とした恋人との日常の物語でもあります。

「劇場」も「部屋」も自分にとって、あらゆるものが剥きだしになる特別な場所です。

映画館でご覧いただきたいのはもちろんですが、皆さんの日常に近い場所でも、この映画がどのように響くのかとても楽しみです。

私は原作を書いただけで、直接映画の制作には関わっていませんが、本当に素晴らしい作品になっていて、行定監督や俳優陣の皆さんに感謝しています。自信を持って、おすすめします。

■ ポン・ジュノ監督コメント

「劇場」は個人的に親しい韓国の演劇人夫婦の実話を、そして私自身の助監督時代を回想させる作品でした。そのような意味でより一層面白く感じられる映画でした。

薄氷の上を一緒に歩いているかのような心もとない愛の物語、そんな愛だからこそより切ない物語、しかし最後まで壊れることのない愛の物語だと思います。

一方で、この作品は成長と克服に関する物語でもあると思います。はてしなく長く、終わりの見えないある時期を乗り越えていく物語ですが、青春期の男女の感情の繊細な調律師である行定監督ならではの熟練した、老練な腕前(力量)を再確認させてくれる作品でした。

映画の様々な場面が印象に残っていますが、特に回り続けるスクーターのシーンは忘れられません。同じコースをぐるぐる回るスクーターと、それに合わせてヒロインの沙希の表情が変わっていく様は本当に素晴らしかったです。男女の関係を一つのシーンに明確に圧縮した、まさにシネマティックな名場面だと思います。

また夜通しサッカーゲームをした後、沙希が朝出勤していくシークエンスも名場面でした。そして、一緒に荷造りをする場面は、なぜ2人のアパートが角部屋で窓が2つなのか、その理由を如実にみせてくれる素晴らしい場面だと思います。2つの窓のカーテンが開かれ、日差しが降り注ぐ瞬間がとても印象的でした。

山崎賢人さんは不確かな天才から醸し出される不安感、不確かな天才に向けて沸き起こる憐憫、そのすべてを可能にしました。松岡茉優さんは天使の安らぎと、反対に天使からもたらせる息苦しさの両面を見事に表現していたと思います。

ストーリーの90パーセント以上を主人公の男女が引っ張っていく作品ですが、2人の俳優の演技が素晴らしく、本当によかったです。

この作品はまさに行定監督にしか作り得ない、長くも繊細な愛の物語であるという点で非常に印象深かったです。

またこの映画は、クリエイターあるいは芸術家が抱く不安や苦痛、偏狭さや卑怯な一面をリアルに描いており、その否定的な感情を乗り越え、成長に導いていく自己省察と忍耐までも描かれています。それは同じ作り手という立場にとって、一層胸に迫るものでした。ありがとうございました。

※記事内、山崎賢人の「崎」は正しくは「立さき」(ザテレビジョン)