「どうも…。スター御手洗です!」。連続テレビ小説「エール」(NHK総合ほか)で、ヒロイン・音(二階堂ふみ)の“ミュージックティーチャー”(歌の先生)である御手洗清太郎を演じる古川雄大。6月放送の第13週では御手洗が主人公・裕一(窪田正孝)の所属するコロンブスレコードの新人歌手オーディションに応募。同じオーディションに参加する裕一の幼馴染・佐藤久志(山崎育三郎)と激しく火花を散らした。御手洗役で一躍、注目され、ミュージカル界のスターとしても知られる古川に初めての朝ドラ出演について話を聞いた。

――御手洗が上京し、久志と出会った瞬間から張り合う様子が爆笑を誘いました。

喫茶店で久志と初めて会う場面、台本には「ミュージカル風に歌いながらアドリブでセリフを交わす」と書かれていました。監督と、先輩である山崎育三郎さんと話し合い、「これはとんでもないことになるかもしれない」と言いながら、お互いの自信がどんどんぶつかっていくという流れに。御手洗が「私はスターよ」と言い、久志は「俺はプリンスだ」と言い合っている中でアドリブが出てきて、御手洗がくるくると回ってみせると、久志が「何を回ってるんだ」とツッコミ…。そのとき、僕は「回っちゃなんでダメなのよ」とちゃんと言い返したかったのに口が回らなかったんです。それに対して育三郎さんが「うん?」と聞き返したのもリアルな現場での反応です。僕はリハーサルを始めたときはくるくるしていなかったんですけど…。結果的にオンエアされたのはノってきた頃の回転です(笑)。

――山崎育三郎さんとドラマで共演したのは楽しかったですか?

はい、とても楽しかったです。育三郎さんは、ふだんミュージカルでも共演させていただいたり、近年はダブルキャストで同じ役をやらせていただいたりもしていて、すごく頼れる存在です。「エール」で一緒にやらせてもらえたのも、すごく安心感がありました。現場ではアドリブで任される部分が多くて、それも育三郎さんとの関係性があったからできたのかなと…。僕が出演させていただいた「あさイチ」(NHK総合、6/26放送)で育三郎さんが「(食事に)誘っても8割、9割は断ってきます」とコメントしていましたが、もし、今度誘われたら、絶対断らないようにします(笑)。

■ こんなに早く、伝統ある朝ドラに出られるとは思っていませんでした

――「あさイチ」で育三郎さんは「雄大はふだんは基本OFF(オフ)です。おとなしい」とも言っていました。

ドラマでは「リハーサルを始めます」と言われたぐらいのタイミングで役のスイッチを入れますが、監督が「はいOK(オーケー)」とカットをかけたとたん、すっと下を向いちゃうんです。オフになるというか、次の御手洗のために温存しています。舞台のときは、役の衣装を着て楽屋で出るとき、自然にスイッチが入っている気がします。それじゃ遅いのかな(笑)。普段あまり喋らない方なのですが怒っていると思われる可能性もあると思うので、これからは気をつけるようにします。マイナスに捉えられないように、ふだんから少しだけスイッチを入れようかなと…。育三郎さんは番組でご自分でもおっしゃっていましたけど「常にON(オン)」。そのまま稽古場の空気を作ったりみんなの士気を高めたり、そういうことまでしてくださいます。おこがましいですが、逆に「いつ休んでいるんだろう」と心配になります…。さすがに自宅ではリラックスしているんだろうなぁとも思うけれど、きっと家でも“山崎育三郎”なんでしょうね。

――今回、裕一を演じる窪田正孝さんとの共演はどうでしたか?

窪田さんは裕一としていつでもナチュラルに対応してくださるので、やりやすかったです。御手洗が自分の過去を告白する場面でも、すごく自然に自分のことを話すという空気を作ってくれました。裕一はとても純粋な人で、窪田さんのピュアな目に引き出されるものがありました。撮影の合間にも窪田さんとはいろいろ話しましたが、ふだんの生活のことについてで、食材にはこだわっているという話とか(笑)。役柄についてはあまり話しませんでした。

――音を演じる二階堂ふみさんとは初共演ですか?

以前、CMで共演したことがあります。そのときに少しプライベートの話もしました。二階堂さんは周囲に気を配ってくださって、いろんな方とコミュニケーションを取っていらっしゃいました。音が歌うシーンは二階堂さん自身が歌っていて、声がきれいで透き通っているので、聴いていてとても心地がよかったです。ご自身で歌うという覚悟が素晴らしいと思いますし、なかなかできることじゃないと思うんです。僕なんて、歌に関してはすごく苦労しましたもん、何年もかかってやっと、「歌えるようになったかなぁ」というレベルまで来た感じです。

――そもそも「エール」に出演が決まったときはどんな気持ちでしたか?

こんなに早く、伝統ある朝ドラに出られるとは思っていませんでした。御手洗という面白く個性的な役を演じられたのは幸せなことです。僕の周りでも反響があって、やっぱり朝ドラはたくさんの方が見ているんだなと感じました。撮影に入るまでは、御手洗の背景がしっかり描かれていたので、その設定に助けてもらいました。ただ、セリフはかなり奇抜なものがあったので、「どこまでやっていいのかな」という不安も感じていました。衣装合わせの段階で吉田照幸監督と話して、まず思いっきり120%ぐらいの勢いで演じてみて、そのあと調整していくというやり方になりました。歌のレッスンでピアノを弾くところなど、スタッフさんが徹底的にサポートしてくださって、周りの環境が整っていたおかげで、スムーズに御手洗という役に近づけたと思います。

※後半へ続く(ザテレビジョン・取材・文=小田慶子)