7月9日に発表された「第10回 衛星放送協会 オリジナル番組アワード」の各部門最優秀賞。衛星放送ならではの多様な作品が揃う中、ドキュメンタリー部門では「パラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM アフガン帰り 不屈のカヌー王者:カーティス・マグラス」(WOWOWプライム)が受賞した。

今回は、受賞した同番組で密着取材を受けたカーティス・マグラス選手にインタビューを敢行。

カーティス選手は2006年に18歳でオーストラリア陸軍に入隊し、2012年、派兵先のアフガニスタンで、爆弾の爆発により両足を失ってしまった。その際、救助隊に運ばれながら仲間たちに「自分はパラリンピックに出てみせる」と話したという。その後2014年から本格的にパラカヌーを始めると、同年から数々のタイトルを総なめにしながら、ついに2016年のリオパラリンピックで金メダルを獲得。

そんな逆境に負けない不屈の男が、この密着番組を通して伝えたかったこと、さらには撮影クルーとのエピソードや東京パラリンピックへの思いなど、たっぷり語ってもらった。

■ 密着取材を通して築き上げた撮影クルーとの信頼関係

――「第10回衛星放送協会オリジナル番組アワード」でドキュメンタリー部門最優秀賞受賞となりました。おめでとうございます!今の感想をお聞かせください。

「『WHO I AM』制作チームが私の話を多くの人に影響を与える形で伝えてくれたことが、とてもうれしかったです。そして、何よりこのプロジェクトの一員であることが光栄で誇りです。制作チームは本当に素晴らしい仕事をしてくれました」

――この番組の密着取材を受けようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

「『WHO I AM』の他のエピソードを見たときに、映像に映ったアスリートたちから非常に影響を受けました。同じように、自分のストーリーが人々に影響を与えられたらと思ったのが、取材を受けたきっかけです」

――撮影クルーとの印象的なエピソードなどがあれば教えてください。

「チームワークもとても良く、本当にたくさんの場面を撮影してもらいましたが、特に昨年、ハンガリーの世界大会に来てくれて、競技のこと、そこで起こった物語を世界に伝えてくれたのはとてもうれしかったですね。素晴らしい番組を作ってくれたと感じています」

――この番組を通して視聴者にどんなことを感じてもらいたいですか?

「私は多くの人に、アフガニスタンでの戦争はお金がたくさんかかっただけでなく、多くの人の人生がこの戦争によって変わったことを知ってもらいたいと感じています。また健康でアクティブな人生を人々に送ってもらえるように、この番組を通じて影響を与えたいと思っています」

■ パラリンピックへ、もう1年成長する時間が増えた

――いつも前向きで、どんな壁にも立ち向かっていく印象が強いカーティスさんですが、そのメンタルの強さはどこから来るものなのでしょうか?

「パラリンピックのアスリートになれる、国を代表できることを知り、復活へのゴールを見出すことが出来たからだと思います。ゴールがあることはとても大切なことです。ゴールを目指すことは、私たちに生きる理由、希望を与えてくれて、そして物事がきっと良くなると思わせてくれるものだと感じています」

――アフガニスタンでの事故で両足失ってしまった時、周りの人、特に今の奥さまの助けはとても大きかったと思います。そんな中で、奥さまに一番助けられたと思うことはどんなところでしょうか?

「足を失ってから最初の数カ月が一番助けられたなと思います。いつもそばで話をしてくれて、モチベーションをあげてくれました。落ち込んでいるときなども彼女が冗談を言って笑わせてくれました。笑うことはとても大切なことですからね」

――東京パラリンピックが延期となり2021年の開催も不明確というアスリートとしても悩ましい状況ですが、改めて東京パラリンピックに対する思いを教えてください。

「東京パラリンピックに向けてたくさん努力をし、準備をしていたので大会の延期を聞いた時はすごく落ち込みました。しかし、延期によりもう1年成長する時間が増え、2021年の東京パラリンピックで競うことがさらに楽しみになりました」

――それでは最後に、新型コロナウイルスという人類にとっての大きな壁に多くの人が直面している今、人々に、乗り越えるためのアドバイスをお願いします。

「これから、より一層悪い状況になってしまうこともあるかもしれませんが、人々が一致団結して一緒に乗り越えていくことを忘れてはいけないと思います。一致団結すれば必ずこの事態を乗り越えて、以前の生活に戻れるはずだと信じています」

新型コロナウイルスによって世界中が未曽有の事態に陥り、あらゆる困難が立ちはだかる現在だからこそ、カーティス選手の姿から学ぶべきことは多いはずだ。この番組を通して彼の“不屈の精神”にぜひ触れてみてほしい。同番組は、10月29日(木)夜7:00より再放送予定。

なお、番組部門7ジャンルの最優秀賞作品の中から選ばれる「グランプリ」は、9月1日(火)に開催される「第10回 衛星放送協会 オリジナル番組アワード授賞式」で発表される予定となっている。(ザテレビジョン)