世界遺産に詳しいことでも知られる俳優の鈴木亮平が、9月10日に“前代未聞”の旅行記「行った気になる世界遺産」(ワニブックス)を出版。鈴木自身の“妄想”を膨らませて執筆したという同書は、あたかも世界遺産を旅した気分が味わえる異色の旅行記となっている。今回発売を記念し、鈴木にインタビューを敢行。世界遺産の魅力や本書の見どころ、さらに“妄想”についても語ってもらった。

――発売おめでとうございます。出来上がった書籍を実際に手にしてみていかがですか?

ありがとうございます。思ったより大作になったなと。結構な分厚さで量があるなというのが一つと。あとちょっと恥ずかしいですね。“脳内旅行”というのが、僕の“秘密の趣味”の一つだったので、これを本にして世の中に出していいのだろうかという。どう受け取ってもらえるんだろうという気恥ずかしさがあります。

――実はあまり知られたくなかった?

知られたくなかった(笑)。言うとちょっと変な人だと思われるので。

■ 厳選した30カ所

――今回“脳内旅行”されたのは30カ所ということで、場所に関してはどのように選ばれたのでしょうか?

僕にとってはプレゼンなんですね。知られざる素晴らしい世界遺産をプレゼンしたい。絵で映えて、文章でストーリーにしても映える、この二つを満たしているものを厳選しました。

全部で今1121カ所、世界遺産があるので、その中から厳選した30カ所です。

――ということは、まだまだ続編が期待できそうですね?

まぁ、5年待ってもらえれば(笑)。5年かかっているので。

――そもそも世界遺産にハマったきっかけを教えていただけますか?

もともと旅行は好きで、でもなかなか行けないので、想像で旅行したりとか、テレビ世界遺産の番組とかよく見ていたんですね。いっぱい見ているうちに「世界遺産っていいな」と。番組では分かりやすくリストにしてくれているので、知っていって。そのうちもっと知っていくと、世界遺産って観光地ということではなくて、人類が守っていくべき遺産…まさしく遺産のリストなんだと。生まれた経緯とか、より深い意義を知っていって、より好きになっていきましたね。

■ 挿絵やイラストも担当

――そんな中「世界遺産検定」も受検されたということで?

1級はめちゃくちゃ難しかったですね。ほぼ受験勉強のようでした(笑)。

――今回の著書の中では、挿絵やイラストも手掛けられたということで、普段から絵に触れる機会もあったのでしょうか?

好きは好きだったんですけど、素人なりにたまに描いていたくらいですね。本当は写真を載せたいんですよ、きれいな写真を。大体旅行本ってそうじゃないですか。でも僕は行ってないので(笑)。仕方ないから絵で描くか…というところが始まりですね。

もちろん行くのがベストです!行きたいんですが、そうそう行けない秘境とかも好きなので、行くならベストな時期に行きたいし、そうなると、より可能性が狭まりますし、ものによっては、1年のうち、その日に行かなきゃいけない世界遺産もあるので、そういう所に想像だとまさしくドンピシャで行けるんです…当たり前なんですけど(笑)。

――日本国内にもいくつか世界遺産はありますが、そちらには行かれたことは?

全部じゃないですけど、日本のものにも行ってます。

■ ベストオブベスト

――今回は30カ所の世界遺産ということですが、あえて“ベスト”をお聞きしてもよいものですか?

行って楽しいだろうなという所…「キジ島の木造教会」。ちょうど今の暑い時期に行ったらいいんじゃないですかね。ロシアの北の地にある、僕が世界で一番美しいと思っている木造建築ですね…まぁ全部ですね(笑)。全てが僕の秘蔵っ子なので。皆さん知らない所が多いと思います。知られざる、こんな場所が地球にあるんだというような所を厳選して書いてます。

――もともと連載されていたものを書籍化されたそうで、日々お忙しい中、執筆時間をどのように割いていたのでしょうか?

撮影で忙しくて空き時間があまりない時期でも締め切りは来るので、地方ロケだと、撮影がない時間はずっとホテルのロビーで書いてましたね。

――ちゃんと締め切りは守られていたんですね。

その時点ですでに締め切りは過ぎているんですけど(笑)。

■ 細かい描写にこだわり

――文章を書くことは昔からお得意でしたか?

本当にブログぐらいしか書いたことがなくて。改めて自分の文章を見返してみたら、その時にやっていた作品の影響をすごく受けているんですよね、文体とかが。

三島由紀夫の舞台をやっていたときはすごく硬い文章になってて、恋愛ものをやっている時は、必要以上にロマンチックな語りで書いていたりとか。そう見ると、自分の中で面白いですけどね。

――“妄想”という前提があるにもかかわらず、すごく細かいところまで描写がされていて驚きました。

僕が一番行った気になる、想像の仕方というのが、五感で温度だとかにおいだとか、音とかを想像すると、行った気になれるので、読んでくださる方も、そこを想像して旅行してもらえれば、本当に行った気になってもらえるんじゃないかなと思います。

細かいところに旅って感動するじゃないですか、全体のピラミッドがすごいじゃなくて、ピラミッドのこの部分が…一つの石ってこんなに大きいんだとか、スフィンクスって後ろから見ると意外とかわいいんだとか、そういう細かい気付きみたいなものをたくさん入れました。

■ ダイビングにも挑戦…?

――野生動物の弱肉強食な部分も描かれておりました。

似たようなシーンはたくさんテレビとかで見ていて、蓄積もあるので。自分がそのシーンを目撃するとしたら、どういう場面で、どういうタイミングで見たいか、ベストなものを書いてみました。妄想癖がありますね。

――作品の中ではダイビングにも挑戦されてましたが、ダイビングのご経験は?

ないです(笑)。妄想の世界です。やりたいとは思うんですけど。

――妄想のきっかけみたいなものは何かありましたか?

よく考えてみると、お芝居を始めてから自分でも想像力が豊かになってきたかなと思います。言ってみれば、想像する仕事じゃないですか、台本読んで、その人のことを考えて、想像して、目の前の人を、本当に親友じゃなくても親友だと想像して信じ切るという仕事なので、それはちょっと似ているところはあるかもしれません。

■ 感動してもらえる1冊に

――俳優仲間の方や周りの方からの反響や感想などありますか?

まだ何もないですし、「何やってんの?」って思われるかもしれませんね(笑)。「何?どういうこと?行ってないんでしょ?」「行ってから書いたら?」と言われると思います。

――「行ってからの紀行本」のご予定はありますか?

まったくないですね。行ってしまった所は、自分の中で思い出になってしまうので、書き物にするほどの、未知なるものへの憧れは一つ落ちてしまうので、書けないですね。

行くとやっぱり100%の良さは伝えられないんですね、場所の。いろんなことが起こりますし、タイミングも外しますから。行かない形が、結果的にベストで場所を伝えられる方法だったのかもしれないなと後から思います。

――では最後に、改めて読者にメッセージをお願いします。

知られざる、とんでもない世界遺産を30カ所想像で旅してきましたので、「こんな場所があるんだ」と驚きながら一緒に感動してもらえる1冊になっていると思います。「行ったんだ」と思って読んでいただいても差し支えないと思います(笑)。(ザテレビジョン)