9月17日(木)スタートの連続ドラマ「俺たちはあぶなくない〜クールにさぼる刑事たち」(毎週木曜夜0:59-1:29ほか、MBSほか)に鈴木伸之とともにW主演する佐野勇斗。初めての刑事役で演じるのは、熱くもならず残業もせず、捜査すらしたくない一風変わったキャラクターだ。佐野に、鈴木との共演エピソードや“俳優業”への思いを聞いた。

■ 「相当な数のセリフ合わせをしてきたんです」

「俺たちはあぶなくない―」は、あぶない橋は絶対渡らない後ろ向きな若手刑事コンビが繰り広げるポリスコメディー。佐野は、抜群の推理力を持ちながら頭の中では常に転職のことを考えている25歳の“転職刑事”・世中渡を演じる。

役柄の印象について佐野に尋ねると、「初めての刑事役ですし、実年齢よりも上の役どころを演じるのも初めて。最初は少し身構えてしまったんですけど、台本を読んでみると世中の性格が結構、僕に近いというか。ふざけているように見えているけど、ある一点のことに対してはちゃんと真面目にやっている。…自分を真面目って言うのも、ちょっとアレですけど(笑)。意外とすんなり役に入れましたね」

世中とコンビを組んで動くもう一人の主人公、コスパ重視で昇進試験と署内政治に忙しい“出世刑事”・高野心に扮するのは、現在27歳の鈴木伸之。

「僕は鈴木さんのことを『伸くん』って呼んでいました。伸くんは僕より5歳も年上なのにフランクに接してくださって、でも敬語を使ってくださるんです。すごく人に敬意を払う方で尊敬しています。それに撮影の空き時間にも積極的にセリフ合わせの練習をしてくださったんですよ。この作品は2人のテンポ感が重要になってくるコメディーなんですけど、朝、現場に来たら伸くんがすぐにフザけて僕にセリフを言ってきて、僕もそれにセリフで返す、という感じで相当な数のセリフ合わせをしてきたんです。おかげで本番では、より自然な掛け合いができていたんじゃないかと思います」

刑事コンビという役柄からも、また、W主演という立場からも、現場での鈴木との親交はかなり深まった様子。

「テレビなどで拝見している印象だとクールな感じの方なのかなと思っていたんですけど、実際はすごく優しくておちゃめで、天然な方。いつも現場の皆さんを笑わせるムードメーカーでしたね。僕も2人でサウナに行くなど、すごく仲良くさせていただきました。普段の僕も天然というか人からツッコまれることが多いんですけど、今回だけは完全にツッコミに徹していました。伸くんは本当に相当、天然なので(笑)」

■ デビュー後は「刺激的すぎる毎日でした」

あどけない少年のように天真らんまんな表情を持つ一方で、まなざしに力を込めた途端に精悍(せいかん)な男の顔つきになる。現在22歳の佐野は、2015年に映画「くちびるに歌を」で俳優デビューをして、今年で5年になる。

「そっか、ちょうど5年になるんですね。でも、高校生のときに『くちびるに歌を』に出させていただいて、そこからいったん学業に専念させていただいたので、本格的に始めたのは大学生になって上京してから。

そういった意味ではまだ3〜4年しかたっていないんですけど…長い!めちゃくちゃ長かった!(笑)。多くの皆さんは『あっという間だった』と言われると思うんですけど、僕は全く逆。3〜4年とは思えないほど濃い時間でしたし、刺激的過ぎる日々でしたね。

毎日毎日、自分を高めるのにいっぱいいっぱい。どんな先輩であっても新人であっても、明日いきなり『本番です』って言われたらやらなきゃいけない世界だから。自分に足りないものを痛感させられる中で、“この世界で生き残るには、こういう人でいないといけないんだ”と実感してきました。ずっと、もがいていましたね。もちろん今もその途中ではありますけど…うん。昔の自分に『よく頑張ってるな』って言いたいです(笑)」

■ 佐野勇斗が語る、過去と未来

佐野の演技が世間の注目を集めだしたのは、2016年のドラマ「砂の塔〜知りすぎた隣人〜」(TBS系)。初の連続ドラマ出演作でもあった。

「『砂の塔―』は僕の中でターニングポイントになった作品。人生においてもすごく大事な時間になったと思っています。

初めての連続ドラマで母親が2人いる高校生という、いきなり複雑すぎる役どころで。泣くシーンで涙が出ているのに『伝わってこないからもう一回』と言われることもあったし。これまででいちばん、監督から怒られた作品でしたね。

でもそれでこういう世界なんだなと知ることができたし、強くなれました。主演の菅野美穂さんをはじめとした先輩方からもたくさんのことを勉強させていただいて。あの作品がなかったら、今の僕は存在していなかったと思います」

そして今は、ドラマの主演を務めている。そんな佐野の“今後の展望”とは?

「その質問が一番難しいんですよね(笑)。正直に言うと“こういう俳優になりたい”という蔵は頭の中にはなくて。いただけているお話を一つ一つ、丁寧に力を抜かずにやっていけばきっと、いつかはいい結果にもつながるし、年を重ねていくことでまた芝居も変わっていくだろうし。

それに僕はM!LKというダンスボーカルユニットのメンバーとしても活動しているし、今はYouTubeなどにも興味がありますし。『佐野くんのおかげで楽しかった』『今日も仕事頑張れる』って言ってもらえることができたらなと思いますね。エンターテイナーって言葉を自分で言うのは恥ずかしいですけど(笑)、人を楽しませられる人間でありたいです。自分なりの道を切り開いていけたらと思っています」(取材・文=緑川唯)(ザテレビジョン)