池田エライザが初めて監督を務めた映画「夏、至るころ」が12月4日(金)に公開となる。2009年にファッション雑誌「ニコラ」のオーディションでグランプリを獲得し、美少女モデルとしてデビューした池田。“自撮りの神”と呼ばれモデルとして注目を集める一方、オーディションに落ち続けたという駆け出しの女優時代を経て、今年24歳にして映画監督に。その原動力は、情報発信ツールとしてのSNSにいち早く目をつけ、ファンの声を生かし自ら編集長としてモデルブックを制作するなど、類まれなプロデュース能力とあくなきクリエイター精神にあった。

■ 園子温氏絶賛「業界をゆるがす存在になるだろう」

池田エライザは1996年4月16日生まれの24歳。13歳だった2009年に「ニコラモデル・オーディション」でグランプリを受賞し、同年9月から「ニコラ」(新潮社)専属モデルとして活動を開始した。

2013年には「CanCam」(小学館)専属モデルに転身。モデルとしてブレイクし、ティーンのカリスマとして絶大な人気を誇るようになっていった。

さらに、当初から目指していた女優としての活動にも意欲的に挑戦。映画「高校デビュー」(2011年)で映画デビューを果たすと、2015年にはオーディションで園子温監督の映画「みんな!エスパーだよ!」(2015年)のヒロイン・美由紀役を勝ち取った。

エロいことにしか機能しない超能力に目覚めてしまった主人公の青春を描いた「みんな!−」。きわどい描写もある美由紀役を、池田は「客観的になったらダメ。我に返ったらダメです」と打ち明けつつ、体当たり演技で熱演。

園監督からも「池田エライザはとってもエラい存在感と、とってもエロい存在感! 池田エロイザでもある! エラくてエロい彼女は、今後とっても業界を揺るがすとてつもない存在になるだろうと、今のうちに言っておく」と大絶賛されるなど、存在感を示した。

2017年、映画「一礼して、キス」で映画初主演。「賭ケグルイ」シリーズの生徒会長・桃喰綺羅莉役や、天才アーティスト・エレン役が「はまり役」と称された主演ドラマ「左ききのエレン」(2019年)など印象的なキャラクターを務めた。

とはいえ、当初は不遇の時代も経験している。蜷川実花氏がメガホンをとったNetflixオリジナルシリーズ「FOLLOWERS」(2020年)では、女優を夢見て上京し挫折しながらも成長する女性・百田なつめを演じたが、池田は「芸能界に入ったころから俳優のオーディションを受けては落ち続けていた」とも語っている。

■ 7年前からSNSを使い自己表現

そんな彼女ならではの武器は、早い時期から一貫して見せてきた類まれなプロデュース能力とあくなきクリエイター精神だ。象徴的なのが、SNSツールを使った情報発信能力だろう。

池田はオーディションに挑み続けていた2013年頃、まだ今ほど多くの芸能人が始めていなかったTwitterをスタート。その後Instagramも開始し、積極的に投稿してフォロワー数を伸ばしていった。

中でも数多くの“自撮り”を積極的に投稿し、「どうやったら可愛く撮れるか」といったテクニックも研究。やがてティーンから尊敬をこめて“自撮りの神”と呼ばれるようになり、右手を顎に当てて唇を少し突き出す“エライザポーズ”は一般の女子のみならず芸能人の間でもブームとなった。

自分がいいと思うもの、可愛い、カッコいいと思うものをSNSを通して積極的に発信することを早い段階から実践してきた池田。

時にはメイクのテクニックを公開するなど、モデルとして、表現者(クリエイター)としての“池田エライザ”の在り方をSNSを通してアピールし、“自撮り”という表現方法を磨いて自分の見せ方をプロデュースする。そのスタイルや存在感に憧れるティーンが続出し、多くの同性ファンを獲得。また、モデルとして同性ファンを惹きつけるのみならずグラビアにも挑戦。自身の体の“魅せ方”も一流で、男性ファンからも羨望のまなざしを集めた。

SNSと早い時期から向き合い、積極的に情報発信に取り入れてきた池田は、引き際も鮮やかだった。

2019年のインタビューでは「高校生の時は何かを発信しないと自分が消えちゃうと思っていました」「SNSって中毒性があるので依存しやすい。だから、SNSだけに重きを置かなくなってきたのかなと思います」と“SNS離れ”を告白していた池田。

今年6月には「文字を打ち込むだけで何でもつぶやけて、どこまでも広がっていく可能性を持つ便利なツールだからこそ、情報過多になっていたり、心を痛めてしまうこともあったけれど、救われたことも沢山ありました!! その上で、SNSは無理して一生懸命やるものでもないし、気持ちにゆとりを持って冷静に活用すべきツールだと改めて感じています」と打ち明け、Twitterアカウントを終了した。

■ グラビアカメラマンとしても活躍

こうして早い時期から磨きをかけてきたプロデュース能力とクリエイター精神は、さまざまな表現方法で結実している。

まだ高校生だった2014年には、クラウドファンディングで資金を集め、みずからが編集長となってファンの意見を聞きながらモデルブックを制作するプロジェクトを展開。

約2か月の間に304人から283万円の資金を集め、池田本人によるセルフメーク講座や本人ディレクションによるストリートスナップ、Twitterフォロワーからの一問一答など、“受け手とつながっている”ことを最大限に活かした誌面づくりを行った。

表舞台での表現だけでなく、クリエイターとしての一面も垣間見せる。特に得意のカメラでは、時間ができると自主的にスチールカメラマンとしてスタジオを借りて作品撮りを続けているといい、今年2月発売の「週刊プレイボーイ」(集英社)でグラビアカメラマンに挑戦。池田自身の持ち込み企画で、同じ事務所の女優・柳ゆり菜を被写体に、福島・会津若松にある歴史ある旅館「向瀧」を舞台に、柳の清らかな魂と女優としての意志の強さを切り取り、グラビアカメラマンとしてデビューも果たした。

「週刊プレイボーイ」でのグラビア挑戦は、池田自身による“持ち込み企画”。これまでSNSを中心に、ごく自然に表現を行ってきた池田。作品作りは常に本人発信だ。

■ 自身のエピソードをもとにした「夏、至るころ」

そして今年12月に公開されるのが、自身が初めてメガホンをとった映画「夏、至るころ」。

同作は、株式会社映画24区が“地域”“食”“高校生”をキーワードに全国の自治体と組んで制作する青春映画プロジェクト「ぼくらのレシピ図鑑」シリーズの第2弾。池田が福岡県田川市を訪れ、そこに暮らす人々の温かさと緑あふれる景色にインスピレーションを得て紡いだストーリーが描かれる。

10代で東京に出た池田エライザ自身のエピソードをもとにしているという。緑あふれる故郷の山々に抱かれながら友情をはぐくんできた男子高校生、翔(倉悠貴)と泰我(石内呂依)が夏まつりを前に初めて自分自身の人生と向き合い、それぞれの一歩を選びとる物語だ。主要キャストはオーディションにより決定した。

今回の監督デビューで「夢がひとつ叶います」と話す池田。作品を世に送り出すにあたり、「無邪気に夢を抱くことが難しくなっている昨今。時間が過ぎるたびに正体不明の焦りを感じるこのご時世を生きる若者に、深く共感しながらも、なにかささやかな手助けは出来ないだろうかと考え、この作品をつくりました。私は諦めてしまっていた青春を、素敵な役者陣が見せてくれました。生まれてはじめての感情に触れた瞬間に立ち会わせてもらえたことがなによりも幸せでした」とコメントしている。

池田エライザは、類まれなプロデュース能力を持つ表現者でありクリエイターである。だからこそ、その思いは力強く伝わり、多くの共感を得る。そして、結果として数々の評価を得る。本作はすでにその新人らしからぬ演出力で、韓国の全州国際映画祭、中国の上海国際映画祭で高く評価されている。まだ24歳。次はどのような形で、その才能を見せてくれるのだろうか。(ザテレビジョン)