ことし1〜3月に放送された「デート〜恋とはどんなものかしら〜」(フジ系)。5月20日(水)発売の週刊ザテレビジョンで発表された第84回ドラマアカデミー賞で最優秀監督賞を受賞した武内英樹監督に、印象的だった第2話のフラッシュモブでのプロポーズシーンについて話を聞いた。

この場面は、長谷川博己演じる“高等遊民”の巧が依子(杏)に経済的に寄生するため一世一代のプロポーズを敢行したものの、見事に砕け散ったというもの。

――フラッシュモブでのプロポーズシーンが非常に印象的でしたが、この場面の撮影を振り返ってのお話を聞かせてください。

あのシーンは、全部で(台本のページ数が)25ページ近くあって、2日間で朝まで撮影するスケジュールを組んでいました。ですが、初日に非常に3人(依子役・杏、巧役・長谷川、鷲尾役・中島裕翔)の状態が良くて。あの長いシーンを3人は完璧にせりふが入っていて、しかも、音楽のようにリズミカルに(芝居を)つづっていくのを見て、「これはちょっと、きょうの状態がいいから、1日で撮ってしまおう」と思ったんです。それで、かなり無理を言って、頑張ってやっていただきました。

その日は、特にあのフラッシュモブのダンスを踊る前の部分で、長谷川さんが自分の踊り出すタイミングまでにあれだけのせりふの分量を完璧にタイミングを合わせて言い切って。相当計算が必要なシーンでしたが、彼は寸分の狂いもなく完璧に演じたので、現場からも大きな拍手が起きました。まだクランクインして10日目くらいでしたが、本当に、現場の一体感がギュッと上がったのを覚えてますね。すごく良い雰囲気が生まれました。

その日はダンス部分を後回しにして、最後のお芝居のみんなが去っていくところまでを先に撮影しました。

そして、「さぁダンスをやるか」と言った時に、長谷川さんは全部出し切って、産卵後のサケみたいになっちゃっていて(笑)。夜中の3時くらいに「ちょっときょうはダンスは無理かもしれない」と言われて、そこまでの頑張りを見ているから、正直次の日に回そうかなとも思ったんです。ですが、また別日にダンスだけやると、上手に踊り過ぎるんじゃないかなと思いまして。

――OAは、(ダンスの)崩れた感じが良い具合に出ていましたよね。

そうそう。普段外に出ない(巧の)キャラクターが必死にダンスの練習をして踊ったという意味合いになっていなきゃいけないじゃないですか。それを別日に撮ると、彼もやっぱり完璧主義者なので、完璧にやってきちゃうなと思って。今のボロボロの状態で踊らせると、一番良い味が出るなと思ったんです。そういうスケベ心が出て、(長谷川に)「分かるけど、1回で全部撮りきるから、頼む」とお願いしました。

それで長谷川さんが「本当に1回だけですよ」と息も絶え絶えに踊ったのがあのダンスだったんです。それが良いあんばいだったんですよね。

――確かに、微妙に(周りのダンサーと巧が)ズレてるけども、でも頑張ってやってるみたいな感じが絶妙でした(笑)。

そうそう(笑)。あれが多分、別日に撮るとあのズレもなくなって、巧らしさというのはおそらく出なかったんじゃないかなと思ったので、あの日本当に無理して撮って、結果的には良かったと思いました。本人(長谷川)も出来上がった映像を見て、そう言っていました(笑)。「本当は別日に撮ってほしかったけど、やって良かったね、あれ」って。僕も、「そうだろう」って言って(笑)。

実は、長谷川さんとはもともと飲み友達で仲が良かったんです。仕事は今回が初めてだったんですけども、仕事以外では結構話していたから、やりやすかったですね。でも、知っている仲だからこそ、普段はバカな話しかしてないのに、急に監督と役者の立場になるのは照れるよねぇ、やりづらいわぁとも話していました(笑)。ただ、お互い変に作ることも構えることもなく、格好つけずにできたのはやりやすかったかな。(芝居の)細かい部分も自然に話せていたんじゃないかなと思います。