勇敢で緻密な戦略 前半の主導権はメキシコに

メキシコを率いるオソリオ監督の勇敢にして緻密な駆け引きは、確かにブラジルを戸惑わせた。もっとも、その効力が通用したのは45分まで。メキシコの戦略は王国の10番ネイマールに打ち破られ、7大会連続でベスト16の壁に行く手を阻まれた。

オソリオ監督の策略はスタメンの顔ぶれに表れていた。グループリーグの基本システムは[4-2-3-1]。ダブルボランチにグアルダードとエレーラ、2列目に右からラジュン、ベラ、ロサーノを並べ、最前線にエルナンデスを配置した。しかし、この日は中盤の底にマルケスを据え、両脇にグアルダードとエレーラ、3トップの右にロサーノ、左にベラ、中央にエルナンデスを並べる[4-3-3]を採用。“カゼミロの脇”をブラジルの弱点と見極め、グアルダードとエレーラが積極的にそのスペースを突く戦術に賭けた。

この戦術は見事に奏功し、メキシコは立ち上がりから主導権を握った。15分にはブラジルのパスミスを誘ってカウンターに転じ、グアルダードの大きな展開からロサーノが決定機を作る。直後の18分にはブラジルのCKからまたしてもカウンターのチャンス。左サイドのベラが鋭い弾道のアーリークロスを放り込み、ロサーノがシュートを放って勢いを加速させた。

対するブラジルは、25分と33分、さらに34分にもネイマールの個人技からチャンスを作った。しかし、守備の局面ではグアルダードとエレーラの巧みなポジショニングに手を焼き、中盤の攻防で後手に回ってボール支配率が上がらない。

“仕掛け”の成功を確信したメキシコのオソリオ監督は、手を緩めることなく駆け引きを続けた。30分を過ぎるとベラとロサーノのポジションチェンジを指示し、後半開始と同時にマルケスに代えてラジュンを投入。前半は右SBを務めたアルバレスをアンカーに据え、突破力に優れるラジュンを右SBに配置する変更は明らかな攻撃の一手だった。