順当にブンデス制覇 バイエルン好調の要因は

水沼貴史です。新型コロナウイルスの蔓延によって中断に追い込まれていたUEFAチャンピオンズリーグが、8月7日(現地時間)から再開されますね。準々決勝以降は中立地リスボンでの一発勝負と、例年とは異なる大会形式となりましたが、大会再開の目途が無事に立ち、私自身嬉しく思っています。

今回は7月10日に行われた組み合わせ抽選会の結果をふまえ、決勝戦のカードを予想してみました。今大会で特に注目してほしいチームや選手を私なりにピックアップしましたので、ぜひ観戦のお供にして下さいね。

攻守両面の安定感や選手層の厚さという観点で言うと、ブンデスリーガ8連覇を今季成し遂げたバイエルン・ミュンヘンがCL優勝の最有力候補ではないかと、私は考えています。カルロ・アンチェロッティ元監督やニコ・コバチ前監督のもとで世代交代がうまくいかず、今季も序盤戦の不振を受けてクラブ首脳が監督交代に踏み切りましたが、バトンを受け取ったハンス・ディーター・フリック現監督の仕事ぶりは素晴らしかったですね。彼によって左サイドバックのレギュラーに抜擢されたアルフォンソ・デイビスが持ち前の快足を活かしてサイド攻撃に厚みをもたらしていますし、左サイドバックからセンターバックにコンバートされたダビド・アラバも、相変わらず的確なカバーリングを見せています。2ボランチの一角として定着したレオン・ゴレツカも、強靭な肉体を活かしたボール奪取や推進力溢れるドリブルでバイエルンの中盤を支えており、今やチームに欠かせない存在となりました。

フリック監督が就任してからのバイエルンを見ていてもう一つ感じるのは、未だに色褪せることのないFWトーマス・ミュラーの存在感の大きさです。アンチェロッティやコバチにあまり重宝されていなかった彼をフリックが改めて主軸に据え、チームの攻撃を活性化させたことが今季中盤以降のバイエルンの好パフォーマンスに繋がったと、私は考えています。

ミュラーの最大の特長は、ボールを持っていない時の動きの質が抜群に良いのと、その量が他のアタッカーと比べて格段に多いこと。たとえば、ミュラーはトップ下で起用された際、ボランチの選手(ゴレツカ、ジョシュア・キミッヒ)が後ろから攻め上がってくるためのスペースを確保するべく、自らサイドに流れて相手を引きつけるという気の利いたプレイを頻繁にしています。また、サイドハーフとサイドバックを使った攻撃が手詰まりになりかけた際には素早くサポートに入って、サイド攻撃に厚みをもたらしています。最前線のロベルト・レヴァンドフスキとの連係も、相変わらず良いですね。レヴァンドフスキが空けたスペースに飛び込んでゴールを狙うだけでなく、逆にミュラー自身が囮となるランニングをし、レヴァンドフスキが飛び込むためのスペースを提供する。こうしたミュラーの特性を理解し、彼を前線の核に据えることでチームを上昇気流に乗せたフリック監督の手腕には、脱帽のひと言です。今大会でミュラーがどこまで輝けるか、そして彼のチャンスメイクを封じるチームは現れるのか。これが注目ポイントの一つと言えるでしょう。