加入初年度から大車輪の活躍

現在のサッカー界における最強のセンターバックを論じるうえで、リヴァプールに所属するオランダ代表DFフィルジル・ファン・ダイクは欠かせない。今季は怪我による長期離脱でシーズンの大半を棒に振ってしまったが、その実力は誰もが知るところ。スピード、高さ、読みの鋭さ……。どれを取っても世界トップレベルと言っていいだろう。

だが、そんなファン・ダイクがリハビリに専念している間に、プレミアリーグにはもうひとり“最強”の座を争うにふさわしいCBが出現している。マンチェスター・シティでプレイするポルトガル代表DFルベン・ディアスだ。

マンCの弱点はセンターバック。昨季まではたしかにそんな風潮があったものの、2020-21シーズンの同クラブはむしろセンターバックがストロングポイントになっていると言っていいだろう。その中心にいるのがディアスだ。今季加入したばかりではあるものの、同選手は瞬く間にチームに順応して類稀なるリーダーシップを発揮。今季ついにブレイクを果たしたDFジョン・ストーンズとともに、ここまでプレミアで最も少ない失点数「24」を誇るマンCの最終ラインを支えている。

ファン・ダイクほどの華やかさはないかもしれないが、CBに求められる役割はとにかく“失点しないこと”。その点において、今季リーグ戦出場29試合のうち14試合でクリーンシートを達成しているディアスは称賛に値すると言えるだろう。なお、昨季のファン・ダイクが無失点を記録したのは出場38試合のうち15試合。チーム全体の話であるだけに単純比較はできないが、これを見てもディアスの数字がいかに優れているかは見て取れるだろう。

「ディアスのプレイは本当に好きなんだ。今季のプレミアにおいて、彼は最高の選手だと思うよ。心の底から私はそう信じている。シティに大きな影響を与えたね。まだ23歳とは思えないよ。隣にいるストーンズは26歳だけど、逆に見えるね。決してストーンズを軽視しているわけではないよ。本当に今季の彼を見て驚かされたよ。ある意味では、ファン・ダイクよりも感銘を受けたね。ファン・ダイクはロールスロイスみたいなものだけど、おそらくディアスはそうじゃない。だから、彼はより集中して守備に取り組んでいるように見える」(米『CBS Sports』より)

かつてリヴァプールで活躍したジェイミ・キャラガー氏も、ディアスのことはこのように評価している。ファン・ダイクほどの怪物的な身体能力は備えていないかもしれないが、それ以外の部分が実に研ぎ澄まされていると同氏は感じているようだ。

リヴァプールのモンスターDFとはスタイルがかなり異なるものの、違う武器を磨きながら“最強”を争う領域へと足を踏み入れつつあるディアス。はたして、ファン・ダイクが完全復活を遂げることになるであろう来季、その評価はどちらが上をいくのか。少し気は早いかもしれないが、2人の有能CBが万全の状態で激突する2021-22シーズンが楽しみだ。