先週行われた欧州ヨーロッパリーグ(EL)準決勝でビジャレアルに敗れ決勝進出を逃したアーセナル。プレミアリーグ9位に低迷するクラブにとって、EL優勝の特権として得られる来季のチャンピオンズリーグ出場権獲得という最後の望みを絶たれたことで、クラブの将来に関する話題が連日英国メディアを賑わせています。

 クラブにとって25年間続けてきた欧州カップ戦の出場。ビジャレアル戦後にその道をほぼ絶たれた事を問われたミケル・アルテタ監督は「我々の9割の選手が初めてのカップ戦準決勝だった。経験が足りなかった」と未熟さが敗因と分析しました。一方でクラブOBから監督続投を疑問視する声が増えています。元DFマシュー・アプソンは「ビジャレアルが上回っていたとは思えない。アルテタには戦術眼があり、指導力が評価されているのかも知れないが、それをピッチで表現することや、責任感を持たせるのも指揮官の役割ではないか」と厳しく批判しました。

 5シーズン続けてプレミアリーグのトップ4入りを逃したことは選手たちの進退にも影響しています。右サイドDFエクトル・ベジェリンは在籍10年となる今季を区切りとして移籍を検討、PSGやミランが獲得を検討しているとのこと。クラブはGKレノやローン移籍中のDFコラシナツ(シャルケ)、MFグエンドウジ(ヘルタ・ベルリン)、トレイラ(アトレティコ・マドリード)、メイトランド・ナイルズ(WBA)を売却して資金調達し、6,000万ポンドの選手補強資金を確保、タイトルレースを争える戦力を整えたいと目論んでいます。

 ただ先月のスーパーリーグ構想に当初参画する意向を示したスタン・クロエンケを始めとするオーナー陣にはファンから退陣を求める声が途絶えません。そのなかで音楽配信サービス『Spotify』のCEOであるダニエル・エクはビジネスマンとして以上に、一人のアーセナルファンとしてクラブの買収に動き出しました。水面下でクラブのサポーターズ・トラストと会談したことが明らかとなっただけでなく、デニス・ベルカンプ、ティエリ・アンリ、パトリック・ヴィエラといったクラブレジェンドたちの協力を得て、クラブの再生に取り組む準備を進めています。

 元DFのマーティン・キーオンは「新オーナーや新監督の招聘などクラブの今後を考えるよい機会。監督としての経験が浅い39歳には荷が重かった」とクラブの改革を求めるコメントをしました。『SkySports』の番組に出演したアンリ自身も買収を目指すSpotifyグループに協力するのか問われ、「Yes!」と答えました。このスウェーデン人ホワイトナイトが提示する買収額は推定で約18億ポンド。交渉の進展に注目です。

文/西岡 明彦

※電子マガジンtheWORLD257号、5月15日配信の記事より転載