愛弟子ヒサイの存在がチーム作りのキー

ローマの指揮官に就任したジョゼ・モウリーニョ、ユヴェントスへ復帰したマッシミリアーノ・アッレグリ、王者インテルを引き継ぐこととなったシモーネ・インザーギなど、セリエAの新シーズンは選手だけでなく、これまで以上に敏腕指揮官たちの熱いバトルが繰り広げられることも予想される。その中で、1年間の休養を経て、ラツィオを率いることとなったマウリツィオ・サッリからも目が離せない。

“元銀行員”という異例な肩書きを持ちながら、今や欧州屈指の戦術家と呼ばれる指揮官にまでなったサッリ。長い下積み生活を経て、2012年から指揮をとったエンポリでは、チームをセリエBからセリエAへ引き上げた。そして、2015年に就任したナポリでは、チームをスクデット争いの常連へと成長させ、欧州のトップクラブに。あの名将ジョゼップ・グアルディオラに「ナポリに恋している」や「彼(サッリ)からは毎週見て学ぶことがある」と言わしめたほどだ。

その後、2018-19シーズンに率いたチェルシーでは、見事ヨーロッパリーグを制し、念願であった自身初のメジャータイトルを獲得。2019-20シーズンのユヴェントスでは、個性が強い選手たちをまとめるのにやや苦しんだものの、スクデットは死守し、前人未到のセリエA9連覇へと導いていた。

サッリ・サッカーの特長といえば、素早いプレスと華麗なポゼッションで相手を圧倒する攻撃スタイル。「サッリズモ」や「サッリボール」とも呼ばれ、ユヴェントスでは自身の哲学をなかなか浸透させることができなかったが、ナポリやチェルシーではその攻撃的なスタイルでチームをより高いレベルへと引き上げている。

新シーズンから任されることとなったラツィオでも、チームに「サッリズモ」を浸透させていくことが予想される。S・インザーギのもとで5年間にわたってじっくり育て上げられ、チームとしてのベースがしっかりしているラツィオに、サッリの新たなエッセンスをうまく融合することができれば、ライバルたちにとっては非常に脅威となるのではないか。一度波に乗るとなかなか止められなくなるチームの特長も、サッリの攻撃的なスタイルに合っているように思う。

もちろん、チームに新たなスタイルを植え付けることは決して簡単なことではない。ただ、サッリとってはこれ以上ない朗報もある。エンポリとナポリで6年間にわたってともに戦ってきた愛弟子で、サッリのことを熟知しているDFエルセイド・ヒサイの存在である。ヒサイは昨季限りでナポリとの契約が満了を迎え、今夏でフリーに。今後の動向に注目が集まる中、正式発表はされていないものの、サッリ・ラツィオのプレシーズンのトレーニングキャンプに参加することが発表されたのだ。キャンプの様子は自身のInstagramやクラブの公式Twitterなどにもアップされている。

新たなクラブで自身のことを理解してくれている選手がいるか、いないかでは、新たなチームを作り上げていく上で大きな違いだ。サッリはこの指揮官戦国時代の到来を予感させるセリエAを制し、ラツィオに1999−00シーズン以来の栄光をもたらすことができるのか。