ナバスの壁が予想以上に大きく

EURO2020で母国を欧州王者へと導き、今や世界最高と呼ばれる守護神のひとりにまで成長したイタリア代表GKジャンルイジ・ドンナルンマ。クラブでも今夏に心機一転、戦いの舞台をイタリアからフランスへ移したが、はたしてこの移籍は本当に正解だったのか。

現在22歳のドンナルンマは16歳でプロデビューを飾るなど若くして注目を集め、その年齢に似つかわしくない冷静なプレイでスーパースターへの階段を一気に駆け上がる。ただ、所属クラブのミランの低迷で、なかなかタイトルを手にできないこともあってか、世界で“5本の指”に入るような評価まではなかなか得られていなかったように思う。

ただ、今夏のEUROで大会MVPに輝いての優勝。さらに、新天地のパリ・サンジェルマンではネイマールやキリアン・ムバッペなどに加えて、同期となったリオネル・メッシやセルヒオ・ラモスらとも共闘することに。ついにドンナルンマの時代が来たかと思われた。しかし、人生はそううまくはいかず。予想以上に百戦錬磨のGKケイロス・バナスの壁が大きく、同選手が今季ここまで公式戦7試合に出場しているのに対し、ドンナルンマは同2試合の出場にとどまってしまっているのだ。

もちろん、本人もプレイの保証がないのを承知の上で、PSGへの移籍を決断したことだろう。しかし、ここまで困難な状況になるとは想像していなかったかもしれない。実際、ミラン残留を選択していれば間違いなく叶えられていたであろう長年夢見てきた舞台、チャンピオンズリーグでも開幕節はベンチからピッチを眺める羽目になっている。

先日、イタリア代表のOBでもあるジャンルカ・パリュウカ氏も、ドンナルンマの状況に関して「わからない。ナバスは素晴らしいGKだけど、なんでポチェッティーノ(現PSG監督)は世界最高のGKを持っているのにベンチに置いたままにするんだ?(伊『TUTTOmercatoWEB』より)」と疑問を投げかけていた。

まだまだシーズンは始まったばかりで、今後ドンナルンマとナバスの定位置争いの行方がどうなるのはわからない。今夏の移籍が正解だったのか、それとも失敗だったのかを決めるのも時期尚早だが、もしこの状況が続くのであれば、早期退団もあり得るかもしれない。