もっと上のレベルで見てみたい指揮官も

中堅クラブからビッグクラブへのステップアップを夢見るのは選手だけとは限らない。中堅クラブで結果を出した指揮官もまた、ビッグクラブに引き抜かれる可能性がある。

今季印象的な指揮官では、まず川島永嗣が所属するストラスブールの指揮官ジュリアン・ステファン(41)だ。まだ指揮官としては若いステファンは、2018年から2年半にわたって同じフランスのレンヌを指揮していた。レンヌでも国内カップを制するなど結果は出しており、それは今季より指揮するストラスブールでも変わらない。

残留を第一目標とするストラスブールを現在は6位へと導いており、先日も王者パリ・サンジェルマン相手に3−3とドローに持ち込んだばかり。欧州カップ戦出場権をゲットできなかったとしても、ステファンの仕事ぶりは高く評価されることだろう。もっと上の舞台で見てみたい指揮官の1人だ。

イタリアからは、トリノを指揮する46歳のイヴァン・ユリッチと、フィオレンティーナを指揮するヴィンチェンツォ・イタリアーノ(44)に注目が集まる。ユリッチはジェノアでこそ苦労したが、2019−20シーズンが16位、2020−21シーズンが17位と残留ギリギリだったトリノを現在10位まで押し上げており、その仕事ぶりが評価されている。

ユリッチはチームに前線からのプレスを求めており、そのスタイルはアグレッシブだ。興味深い数字の1つに挙げられるのがファウル数で、トリノはここまでリーグで1番多い590回ものファウルを与えている。ファウルを取られるのは良いことばかりではないが、イエローカードの枚数は全体10位の79枚に抑えられている。激しくもクリーンに相手選手をチェックするスタイルがチームに浸透している証とも言えるデータか。

フィオレンティーナを指揮するイタリアーノはイタリア国内でコツコツと結果を出してきた人物で、2018−19シーズンにはセリエCに所属していたトラーパニ・カルチョをセリエBへ導き、続く2019−20シーズンにはセリエBに所属していたスペツィアの指揮官に就任し、これまたチームをセリエA昇格へ導いた。

今季より就任したフィオレンティーナでもまずまずの結果を残しており、ここ3シーズンは16位、10位、13位と中位を彷徨っていたフィオレンティーナを現在は8位まで押し上げている。今冬にはエースのドゥシャン・ヴラホビッチをユヴェントスに引き抜かれたが、何とかそれにも対応している印象だ。

ドイツでは、マインツを指揮する42歳のボ・スヴェンソンが印象的だ。昨季前半戦のマインツは1勝しか挙げられず大苦戦していたのだが、2021年の年明けから指揮官をボ・スヴェンソンへとスイッチ。スヴェンソンはそこから急速にチームを立て直し、後半戦だけで9勝を挙げて12位フィニッシュを実現した。スヴェンソンへ交代していなければ降格していた可能性もある。

スヴェンソンは2007年から7年間マインツで選手としてプレイした実績も持っていて、マインツ時代にはユルゲン・クロップとトーマス・トゥヘルから指導も受けている。そのためか2人の後継者候補と見られるところがある。

2019年からはオーストリアの強豪ザルツブルクのリザーブチームにあたるリーフェリングを指揮した経験も持っており、ザルツブルクもかなりアグレッシブなスタイルで知られるチームだ。英『Daily Mail』はスヴェンソンのスタイルはプレミアリーグに合うはずと伝えており、将来はクロップやトゥヘルのようにイングランドへやってくるかもしれない。

スヴェンソンも「私は2人から多くのことを学び、それが今は本当に役立っている。2人がいなければ監督にはなっていない」と語っている。今後のステップアップが楽しみな青年指揮官だ。

最後にスペインからは、彼らよりも若い39歳のラージョ・バジェカーノ指揮官アンドニ・イラオラだ。前半戦に比べるとペースを落としてしまったところはあるが、それでも今季のラージョはバルセロナ相手に連勝を収めるなどかなり積極的なサッカーを見せてくれている。順位が11位まで落ちたとはいえ、ラージョは今季より2部から昇格してきたクラブだ。そのチームを指揮してバルセロナ相手に連勝を収めるのは簡単なことではない。ベテランFWラダメル・ファルカオを活かしつつ、積極的に前からアタックしていくイラオラ流のフットボールは面白い。


40代はまだまだ指揮官としては若い方であり、彼らは全員これからが楽しみな人物ばかり。移籍市場では選手の移動が主な話題となるが、今季結果を出した彼ら指揮官の動きも要注目だ。