セレッソ戦は引き分けも内容でいえば圧勝か

2022年明治安田J1リーグは第11節までが消化され、首位には25ポイントの鹿島アントラーズがいる。2位以下を見て見ると川崎フロンターレや横浜F・マリノスと予想通りの並びとなっているが、3位柏レイソルと6位サガン鳥栖は今季のサプライズといっていいだろう。

鳥栖に関してはやはりオフシーズンでの主力放出がそう思わせる。エドゥアルドをはじめ小屋松知哉、仙頭啓矢、樋口雄太、山下敬大、酒井宣福らを放出している。最終ラインから中盤の要、点取り屋まで揃って他チームへ出しており、彼らの穴を埋める補強は行ったが、放出時のインパクトは超えられていない。

だが、シーズンが始まってみると、ここまで3勝7分1敗の16ポイントで6位に。引き分けの多さは気になるが、ここまで1敗はコンサドーレ札幌に並んで最も少ない数字である。

そんな鳥栖の魅力は選手が動く流動的なサッカーである。システムは[3-4-3]がベースで、攻撃時には後ろの選手が前の選手を追い越して攻撃の厚みを生み出している。味方がボールを持てば複数の選手がフリーランでスペースに走る動きやスペースを生み出すランニングを見せ、アタッキングサードで違いを出していく。3バックのサイドや両ウイングバックがボックス内に積極的に走り込むため、迫力のある攻撃が実現できている。それでも、フィニッシュの場面では精度が必要となり、1-1で引き分けたセレッソ大阪戦のように内容が結果に伴っていない試合もあるが、試合を重ねるごとに連携が高まり、比例してゴールの数も増えてくるはずだ。

鳥栖の良さは攻撃の組み立てだけでなく、守備での切り替えの速さにある。ネガティブトランジションでの意識が高く、ボールを失えば2人から3人の選手が相手のボールホルダーにプレッシングを仕掛ける。ファウルで流れを止めてもよし、ノーファウルでボールを奪い返せば再び鳥栖のターンになる。

前線からのハイプレスも激しい。センターフォワードの垣田裕暉をはじめシャドーの選手が相手のビルドアップに全速力でプレッシングを行うことでロングボールを蹴らせるしかない状況を生み出す。そうなれば185cmの田代雅也が中心となる高さのある3バックが空中戦を制し、セカンドボールを回収することができる。あとはこれの繰り返しで相手のゴールまで迫っていくわけだ。ハイプレスをする際にどうしても最終ラインがハイラインとなるが、GKながらプレイエリアの広いパク・イルギュが後方の広大なスペースをカバーしており、問題はない。

この攻守ともに整備された魅力的なサッカーにはスタミナが必要となるが、鳥栖には走れる選手が多い。例えば、中盤の小泉慶は第7節札幌戦で13.36kmの走行距離を記録。これは今季のリーグ戦で3番目に多い数字である。スプリント数でいえばウイングバックの岩崎悠人や3バックのジエゴが40回越えを記録するなど、素晴らしい数字を残している。

チーム全体にスポットライトを当てればここまでの全11試合で最も1試合の平均走行距離が長いのが、125.163kmの鳥栖。スプリント数も231回で鳥栖であり、運動量のデータでは鳥栖が全18チームの中で最も多いのだ。もちろん、ただ走るだけでは意味はないが、川井健太監督率いる鳥栖は攻守ともに整備されており、Jリーグに旋風を巻き起こしている。まだ今季のリーグ戦は序盤だが、シーズンが進むにつれて鳥栖の強さが明確になっていくはずだ(データは『Jリーグ公式』より)。