争奪戦の末ボルシアMG行きが決まった

板倉滉のボルシアMG行きが発表された。マンチェスター・シティに所属していた守備者で昨季はローンでシャルケに加わり、1部昇格に大きく貢献している。チームに残ることは難しかったが、21-22シーズンの活躍を受けて多くのチームが板倉に関心を示し、最終的に昨季ブンデスリーガ10位でフィニッシュしたボルシアMGが争奪戦を制した。

「コウは走力があり、戦術的にも規律がある選手。守備的MFを含めて複数のポジションでプレイできる」と独『Bild』にてスポーツディレクターのローランド・ビルクル氏がコメントを残している。センターバックでの獲得かと思われたが、中盤として考えられており、22-23シーズンの板倉が楽しみである。

そんな板倉だが、約3年半前はベガルタ仙台でプレイしていた。当時川崎フロンターレに在籍しており出場機会を求め仙台へ。24試合で3ゴールを記録し、2019年の冬にシティに引き抜かれた。

そこからの板倉の成長スピードは凄まじい。まずオランダのフローニンヘンで2シーズン過ごし、2021年にシャルケへ移籍。2部ではあるが欧州5大リーグであるドイツに渡るとセンターバック、中盤の2つのポジションで地位を確立し、守備的MFとしてボルシアMG行きを掴んでいる。

ここまでの過程は板倉の実力があってこそだといえるが、2019年にしたシティ移籍の決断は正解だった。

シティは板倉をはじめ世界中から有望株を獲得し、ローンで欧州のクラブへ移籍させ育成するシステムを持っている。しかしこの獲得はトップチームを戦力的に強化するというわけではなく、どちらかといえば格安で逸材を獲得し、数年後に多額の移籍金で売却する要素が強い。板倉はボルシアMGへ500万ユーロで売却されており、川崎から獲得した110万ユーロを元手に約5倍の数字にしている。

SNS上では「トップチームで使わないから獲得するな」との声もあり、シティの青田買い戦略に否定的な声は多い。実際にガンバ大阪からシティへ移籍した食野亮太郎はインパクトを残せず、G大阪への復帰が濃厚だ。

だが、板倉のように欧州でしっかりと自身の実力を発揮し成長できれば約3年半でドイツの中堅クラブへステップアップすることができる。もし約3年半前の時点でシティに引き抜かれていなければ2022年のこの時期に5大リーグの中堅クラブへ移籍するのは難しかっただろう。

プレミア王者を保有するシティ・フットボール・グループのロンメルでプレイしていた斉藤光毅は先日、オランダのスパルタ・ロッテルダムへの期限付き移籍を発表した。ベルギー2部からオランダ1部へのステップアップであり、板倉のようにハイパフォーマンスを披露できればさらなる飛躍が期待できる。

ビッグクラブの青田買いは悪い面もあるが、板倉のように成功できればクラブ、選手共に利益を手にすることができる。今後も日本人選手が欧州のビッグクラブにレンタル前提で獲得されることはあるかもしれないが、そこから数年後を見据えた移籍であれば悪くない選択肢だといえる。