ブレントフォードに頼もしい選手が戻ってきました。賭博違反の容疑で8カ月の出場停止処分を受けていたFWイヴァン・トニーです。1月20日のノッティンガム・フォレスト戦で先発復帰を果たすと、自らFKでゴールを挙げるなどして逆転勝利に貢献しました。それ以降トニーはフォレスト戦を含め出場4試合で3得点の活躍、クラブは苦しい残留争いから抜け出すまでに状況は好転しました。

 そんなトニーとブレントフォードとの契約は来季終了まで。トップレベルのクラブでプレイしたいと希望するトニーサイドに契約延長の意思はなく、クラブもフリートランスファーを避けるため今季限りで放出することは止むを得ないと準備を始めることになりました。トーマス・フランク監督は、「彼以上のストライカーは世界でもそれほど多くはいないはず。もちろん監督の立場で言えば残留してほしいけれど、現実的には今夏に移籍するのは仕方がないだろう」と、27歳のストライカーがステップアップすることを予想しました。

 さらにトニーにとって期待されるのがEURO2024を戦うイングランド代表への復帰です。バイエルンのFWハリー・ケインは当確として、それ以外のFW枠はニューカッスルのカラム・ウィルソン、アストン・ヴィラのオリー・ワトキンズ、マンチェスター・ユナイテッドのマーカス・ラッシュフォードらが争っています。今後の活躍次第では代表キャップ1のトニーが召集されることも十分期待されます。「今の調子を維持できれば、ガレス・サウスゲイト監督の助けになれる存在であることは間違いない」とフランク監督もトニーの代表入りに太鼓判を押しています。

 気になるのは今オフの移籍先です。今のところ、アーセナルやチェルシー、トッテナムといった強豪クラブが早くも興味を示しています。またマンチェスター・ユナイテッドもリサーチを開始したものの、すでに違約金交渉が1億ポンド前後の相場に高騰していることを危惧し、7,000万ポンド以上の金銭闘争には参戦しない意向を示しているとの報道も。当の本人は他クラブから関心を持たれていることに対し、「自分で移籍先クラブを決めることは出来ない。今はただ、自分に出来ること、得点を挙げることだけに集中して調子を維持していきたい」と、一連の移籍報道には多くを語りませんでした。

 これまでブレントフォードでの公式戦126試合70得点という得点力と屈強なフィジカルを兼ね備える身体能力は大きな魅力。来季、イヴァン・トニーがどのクラブのユニフォームに袖を通すのか、今後の活躍も含めてとても楽しみです。

文/西岡明彦

電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)290号、2月15日配信の記事より転載