岐阜県瑞浪市で、自家製のハチミツを使ったスイーツを提供する「堀養蜂園 蜜や」。ミツバチを育てながら、魅惑のメニューを次々と考え出す、若き養蜂家が営む人気店だ。

■カヌレが人気の養蜂園が経営するカフェ おいしさの秘訣はもちろんハチミツ

 2021年8月にオープンした、岐阜県瑞浪市の市街地にある「堀養蜂園 蜜や」。

自家製ハチミツとそれを使ったスイーツが自慢で、中でも特に人気なのが…。 女性客: 「カヌレが目的で来たんです。子供がハマっていて」 看板メニューのカヌレ。一番の特徴は、ミツバチの巣からとったミツロウを使うこと。外側をミツロウでコーティングし、ラム酒を加えた生地を入れ、表面をカリッと焼き上げる。真ん中のくぼみに自家製のハチミツをたっぷりと入れ、粉糖を振りかけたらできあがりだ。 「蜜やカヌレ」(1個350円)。外は少しかためでカリっと。そして、中はしっとり。フレッシュなハチミツとの相性は抜群で、遠方から買いに来るファンも多いという。

女性客: 「おいしいのと、人にプレゼントすると喜ばれる。レベルの高いカヌレなんじゃないかなと思っています」  この大人気スイーツを考案したのが、堀養蜂園の堀孝之さん(36)だ。

堀孝之さん: 「ハチミツを生産者から直接、お客さんに食べてもらいたい」  スイーツを食べて感動してもらい、ハチミツを購入してもらえる場所を作るのが目的だ。

■自然の多い場所にハチを放つのがこだわり 今年も採れた香り高い良質の蜜

 堀養蜂園は、ツバチの巣箱を置く“蜂場(ほうじょう)”を瑞浪市と恵那市に合わせて8か所持っている。堀さんが生産するのは、中山間地域で山の花から集めたハチミツ。 4月下旬に出る「山桜」は、さわやかな香りが特徴だ。

力強いコクが味わえる「そよご」に…。

さっぱりとした味わいの「ゆず」など、花によって様々な味と香りが楽しめる。

 毎年5月から7月にかけてが採蜜の最盛期。堀さんはほぼ毎日蜂場に出る。 堀さん: 「山の頂上付近の標高700メートルの場所で空気もすごくきれいだし、ミツバチの生態系を守ってあげないといけないので、なるべく山の自然の多い場所に(ハチを)放すのがうちのこだわりですね」 地元にある牧場の一角を借りて、巣箱を置いている。標高の高いこの場所では、山の樹々の花は4月上旬から順番に咲き始めるそうだ。 白く可憐な花がヤマザクラ。花をよく見るとミツバチが…。

堀さん: 「うちのハチかと思います。花の中にギュッと顔を押し入れて、一生懸命蜜を吸う姿がけなげなんです。採蜜が楽しみですね」 6月下旬、この日はヤマザクラのミツを搾る。最盛期を迎えるこの時期は、堀さんの両親が手伝いに来てくれる。 煙を吹きかけ、ハチがおとなしくなったところへ、巣箱の最終チェック。巣板(すばん)を取り出し、熟成具合を確認。どの巣板をしぼるかで、ハチミツの出来が決まるとあって慎重だ。

堀さん: 「いい感じですね。蜜蓋をかぶっているので、しぼれますね。完熟してくると蓋をかけるんですけど、この蓋をかけた時が大体しぼり時なので。この状態ですね。結構、熟成している。めちゃくちゃいい蜜ですね」

 ハチミツがたまった巣板を次々と取り出していく。ここからは両親の出番だ。お母さんが蜜蓋を切り取り、最後にお父さんが遠心分離機にかけて蜜をしぼる。

 採蜜機の蓋を開けて、味見をする。 堀さん: 「ドンとくる味わい。ヤマザクラのパンチがすごいですね。潔くて香高いハチミツです」 黄金色に輝く「山桜蜜」。今年も香り高い良質の蜜が採れたようだ。 ビンに小分けして地主に採れたての蜜をおすそ分けする。地元の人たちの協力があってこそ、おいしいハチミツを採ることができる。自然と人の恵みだ。 野山のはちみつ「山桜」は、濃厚な甘みの中に桜の香りをほのかに感じる人気の商品だ。

大瓶はすでに完売。その他の容量も残りわずかだ(6月28日放送時点)。

■経営するカフェではハチを見ながら食事も モーニングやスイーツが人気

 経営するカフェは、週末になると午前中から多くのお客さんで賑わう。ハチが見える席ではハチミツを使ったグルメも楽しめる。 大人気の「蜜やモーニング」(550円)は、飲み物とパン、サラダなどに自家製ハチミツがついている。

トーストにとれたてのハチミツがたまらない。

おすすめのデザートは、花蜜の「はちみつプリン」(400円)。食べる直前に「そよご」のハチミツをかける。濃厚なプリンのうまみとハチミツの相性が抜群だという。

夏の一番人気のデザートは「ソフトクリームミルク×そよご蜜」(450円)。濃厚なミルクアイスにハチミツがたっぷりとかかっている。

男性客: 「感動しちゃって、(ハチミツは)こんなにおいしいんだと」 この店では、隣の作業場で飛び交うハチが見える席で食事することができる。

女性客: 「ハチを見ながらハツミツを食べられて、こんなふうに搾ってハチミツできるんだって…。楽しいです」 堀さん: 「逆に僕らはこちらからああいう顔が見えると、本当にうれしいなって思います。僕たちが主役じゃないんですよ。ミツバチが主役で、僕らは脇役で管理しているだけ。ミツバチとお客さんをつなぐ架け橋になれているかなって、すごく思いますね」

 堀さんは、ハチミツを買ってくれた方の生活の一部になり、食べたときに笑みがあふれる家庭の一品になってもらえればうれしいいと話している。