値上げラッシュが続いている。街のスーパーで、毎日の買い物を上手にする人探してみた。

■開店前に並ぶ「朝イチ」の利点…空いているから受けられるサービスも

 訪れたのは東海地方で21店舗を展開する、“激安スーパー”「タチヤ」だ。多い日には4000人が訪れる人気の「みなと」店で、買い物上手な人を探した。

 開店前から並んでいる人々を発見。朝一番が特別安いというわけではないのに、なぜ並んでいるのか。

男性客(82): 「(開店の)15分ぐらい前かな。まだ空いているうちのほうが買いやすいから」 客が少なく余裕を持って店内を回れるという理由で、朝一番に来ると決めているという。

この男性は、まずは「鮮魚コーナー」へ。タイを丸ごと1尾買うと、店員に下処理を依頼した。 店員: 「全部、刺身用でいいですか」 男性客: 「アラもみんな入れといて」 朝は下処理を店にお願いできる場合もあるという。

男性客: 「ここで全部さばいてくれるからね、うちでやらなくてもいい。汚れなくて済むじゃん」

空いているから時間帯だからこそのメリットだ。

■基本は「まとめ買い」 作り置きやシェアで時短やコスパアップ

 買い物カゴ3つをいっぱいにしている夫婦がいた。

女性客(32): 「2週間に1回は、まとめて買って」 レシートを見せてもらうと、買い物総額は1万3700円。肉・魚のほか、野菜などの生鮮食品もドッサリだ。 まとめ買いして作り置きすることで、買い物の回数が減らせるだけでなく、毎日の献立を考える手間も省けるのだという。2人は、1週間分の献立を決めて保存しているそうだ。

女性客の夫(32): 「妻が結構作ってくれるんで」 女性客: 「夫も。夫婦で作っています」 買い物かごだけでなく、夫婦の愛もいっぱいだった。  他にもまとめ買いをする女性がいた。家族4人分の食材、約1週間分だという。

女性客(49): 「大きな冷凍庫1台用意しましたので。コロナでどうなるかわからなくて、濃厚接触になると買い物にも行けなくなってしまうので」 もともとあった冷蔵庫に加え、去年2台目となる“セカンド冷凍庫”を購入したという。コロナで自宅内隔離などが必要な場合に備えて、“セカンド冷蔵庫”や冷凍庫を買う方が増えているようだ。

もちろん、お値打ち食材をまとめ買いして冷凍保存することで、食費が抑えられるというメリットもある。

 別の主婦は買ったものを、複数のエコバッグに分けていた。 別の女性客(56): 「一人暮らししている娘が『買ったものを分けて』って言うのでここで小分け。(タチヤは)3束・2束いくらというふうに(安く)なっているので、そういうものはまず買います」

最近では定番になってきた買い物術の、まとめ売り狙いで大量に買って「シェア」する方法だ。

小分けにして、一人暮らしをしている娘とシェアすることで、食材のムダをなくしていた。

■料理人の買い物はわずか5分で終了 「メモしておいた必要な分だけ」

 買い物に来ているのは、一般の人だけではない。 居酒屋経営の男性(42): 「ちっちゃな居酒屋やってます。お店の食材を買いに来るので」 仕入れに来たという居酒屋の主人。プロの料理人の買い物を見せてもらった。 この日はキャベツやとうもろこしがお値打ちだったが、それには目もくれず、じゃがいもやなすなどの野菜を素早くとっていった。その後も、お肉などをカゴに入れながら、どんどん進んでいき…。

居酒屋経営の男性: 「もうおしまいですね、買い物は」 広い店内で、わずか5分で買い物終了だ。

居酒屋経営の男性: 「必要なものを必要なだけ。メモして必要な分だけ買った方がいいかなと思います」 必要なものを事前にメモしておいてその通りに買うことで、安さにつられての買いすぎを防ぐというこの男性。これもムダを省く買い物術といえそうだ。

この日買ったじゃがいもは…。

ポテトサラダになった。

■“タチヤの達人”の2人組の極意…「値引きだからと飛びつかない」「店内アナウンスは聞き逃さない」

 午後4時を過ぎると、店内放送とともに値引きが始まった。 タチヤ名物、「テープ巻き」と呼ばれるまとめ売りだ。赤色は108円、黄色は162円均一に。値打ち品を見定めようと、客も真剣な表情だ。

 そんな中、余裕の笑みを浮かべ楽しげに買い物をしている2人組の女性がいた。武富聖子さん(51)と土橋美陽さん(39)だ。会社の同僚という2人の買い物に、同行させてもらった。

 2人がまず向かったのは肉の売場。値引きされている商品が並んでいたが…。 武富さん: 「50円ではまだね…。こっちは100円になってるじゃないですか。時間がたつと値引きの数字がだんだん増えてくるので、まだ買わない。持ってみるだけ。冷やかしの時間」

値引きの底値を見極めるという2人、これは達人の予感だ。

 すると、店内に鐘の音が鳴り響いた。 土橋さん: 「タイムサービスやってる!」 武富さん: 「ちょっと急ぎます」

達人2人が鐘の鳴る方へ移動し始めた。鐘の音に反応してやってきたのは、マグロコーナー。こちらにも値引きのシールが貼ってあるが…。 土橋さん: 「安いけどやめよ。安いけどさ、300円引きでしょ。計算したら一人頭どれくらいだろうって考えたら、一人このぐらいだって思って。量が少ないから」 値引きだからといってすぐに飛びつかず、冷静にコスパを計算。この余裕も、達人の証しだ。

 続いて2人は野菜の売場へ。トマトをじっくり品定めしていると、館内放送が流れてきた。 <館内放送> 「1パック128円、ミックスで、なくなり次第終了!」 武富さん: 「あそこでしゃべってるわ、やってる!」 お値打ちアンテナが反応したようだ。トマトの品定めを止め、一気に動いた。 土橋さん: 「やばいこれ、絶対買おう」 エノキタケ5パック、108円の特売品を2つゲット選んだ。何をしていても『店内アナウンスは聞き逃さない』。常にアンテナを張っておくこともポイントといえそうだ。

1週間分買ったという2人。土橋さんは9591円、武富さんは4324円だった。2人に買い物をする際に心がけていることを聞いた。 武富さん: 「腐らせないようにするだけ。買った者の責任ですよね」 土橋さん: 「うちも使い切れるかよく考えて買います」

■パンパンに見える冷蔵庫…大量の買い物した商品をどう納めるのか

 しかし、これだけ買ってどうやって保存しているのか。土橋さんの自宅に伺い、保存の方法を見せてもらった。 土橋さん: 「こうやって見ますと意外にありますね」

冷蔵庫の中は、冷凍室も冷蔵室も、サイドポケットもいっぱいだった。

土橋さん: 「入ります。絶対入ると思います。大丈夫だと思います」 そう言うと、土橋さんは買ってきたものを手早く処理しはじめた。

まとめ買いで10パック買ったエノキタケは、食べやすい大きさにカットして袋に入れ、すぐ使うものは冷蔵、残りは冷凍だ。買い物して帰ると、その日に下処理をしたりするという。 土橋さん: 「ほぼします。そうしないと、やる気がなくなってしまうので」  さらに、値引きで買った物や足がはやいものは調理も済ませ、作り置きをする。こうすることで保存スペースを確保し、見事すべてを収納した。

 そんな土橋さんのポリシーは…。 土橋さん: 「お総菜買ってると高いですよね。でも参考にはすごくするんです。多分こんなような味なんだろうなって思いながら」 だから食材選びは大切だ。 土橋さん: 「食材を買った方が安いなと思いますよね」