値上げの波が押し寄せる中、買い物をどう工夫していけばいいのか。愛知県の激安スーパーで、買い物上手な人たちの「達人技」をウォッチした。

■買い物額をあらかじめ設定…暗算できる範囲の買い物で買いすぎ防止する女性

 愛知県内に3店舗を展開する「スーパーヤマト」江南店。

看板に「物価2割下げる」という心強い文字を掲げる、「底値で販売」をモットーにした激安店だ。

取材した日は、ニンジン4本が税込みで150円。2022年は不漁で高値のサンマも1匹100円ほどと、物価高のご時勢にありがたい店だ。

弁当も店内で手作り。毎日10種類ほどが並び、1個270円からと弁当も激安価格。

 午前10時のオーブンと同時に多くの人がやってきた。

女性客(73): 「朝一番に来ますと特価のものがありまして、お値打ち品を買って、他にお安いものがあればそれを利用しておかずを決めていく」 この店は、朝が値下げのタイミング。開店時間に来て、前日より安くなっているものを狙うのがポイントだという。

この女性は、出費を抑えるために1日の家計を決めていて、1500円の中ですべて収めようとしていた。

女性客(73): 「昔、そろばんしていましたので、暗算は得意です」 指で「エアそろばん」をはじきながら、頭の中で計算。これは買い物上手の予感だ。 様子を見ていると、朝に値引きされたばかりの食品を次々にカゴに入れ、足早に移動しながら、わずか8分で13点を購入。合計金額は「1540円」と、ほぼ1500円だった。

頭のトレーニングにもなるだけでなく、暗算できる範囲内で買い物を済ませることで、買いすぎを防ぐ効果もあるという。

■曜日割引を活用…「底値」になる日まで買わずに待つ

 続いては、4人家族の2日分のまとめ買いに来ていた女性だ。 女性客(46): 「この店は安いので、他のお店に行くよりも先にここに来て買える物は買うって感じですね」 野菜や肉などテンポよくカゴに入れていくが、うどんと中華麺の売り場で足を止めた。

女性客(46): 「20円は安いと思いつつ、手は出さない感じです」 お値打ち価格なのに、なぜ買わないのか? 女性客(46): 「曜日によって9円だったか、1桁の信じられない数字の金額の時があるので」 理由は“曜日割引”。ここからさらに安くなる日もあるといい、底値になる日まで待つという。

待つことは買い物上手のポイントだ。

■魚ばかりを買う女性は食材ごとに安いスーパーを使い分ける“回遊型”

 次は、友達と一緒にきた70代の女性だ。隣の市から車で10分ほどかけて来店したという。

女性客(70): 「(サンマを手に取って)ええんじゃない、98円。買います、安いです」 1匹106円と激安のサンマが目当てだ。

さらに、冷凍の赤魚、冷凍のイカ、サバの西京漬け、総菜のサバの煮つけも。お値打ちな魚介類を1週間分“まとめ買い”していた。

冷凍保存を活用して、無駄なく料理に使うという。

しかし、買ったのは魚ばかりだ。 女性客(70): 「(店を)使い分けている。やっぱり安いとことか、いろいろ分かっているから」 食材ごとに安いスーパーを知っておき、次々と店を回っていく“回遊型”の買い物上手だ。

買い物上手は足で稼いでいた。

■「めちゃケチだもん」お姑さんからの教え…作り置きせず、絶対に食べきる

 今度はレジ横で、合計金額に注目しながら様子を見ていると…。 店員: 「はい、ありがとうございます。639円ちょうだいします」 この女性は、買い物合計額は600円ほど。ベーコン・玉ねぎなどを買っているが、ちょっと量が少ない気もする。 女性客(66): 「ケチだもん、めちゃケチだもん」

自分を「ケチ」と言い切るこの女性。自宅に同行し、冷蔵庫を見せてもらうと…。 女性客(66): 「うちの冷蔵庫の中っちゅうのは本当にない。ほかのところは空に近いんだけど、冷凍室だけはいつも満タン。食材を捨てないように保存」 パンパンの冷凍庫に比べて、冷蔵庫には余裕がある。

すぐ使わないような食材は全て冷凍し、使う分だけを解凍。「作り置き」をしないのがモットーだという。

女性客(66): 「作って置くと食べないかんいう感覚あるでしょ。ついつい食べ損なっちゃうとか、すると気持ち悪いからほかっちゃう(捨てる)。ほかるのもったいないから、今みたいに冷凍しとけば、使う分だけ出してその場でチャッチャッチャッ」 食品ロスを徹底的に排除。生ごみの量は、2週間分がMサイズぐらいの袋1個に収まるほどだ。

1か月分の食費は8000円もかからないくらいで、姑からそのコツを教わったという。 女性客(66): 「うちね、姑さんいたの。食品を大事に使う、食べるものをほからない(捨てない)というのを教わっているもんで。今なんか物価も高くなっているから、できるだけ安いからって買ったら、ほかるのもったいないから、絶対に」 買ったからには「安くても絶対に食べきる」。次世代にも伝えていきたい教えだ。

■3人×3日分で3241円…野菜は家庭菜園で賄う夫婦

 最後は3人家族の70代の夫婦。

買い物カゴを持つのはいつも夫だが、妻への優しさ…だけでなく、手にカゴを持つことで持てるだけしか買わない、つまり買いすぎを防止する効果もあるという。

買いに来たのは3日分の食材だが、会計は3241円。3人分にしては少ない気がするが、ほとんど野菜を手にしなかった。

自宅へ伺い、冷蔵庫の中を見せてもらうと、中はかなりスッキリしていた。

冷蔵室には、総菜や下準備した野菜などが。いたって普通に見えるが…。 妻(71): 「畑でとれたものは…これがそう、ナス。お父さんとってくるから、そのまますっぽり」

野菜は自分たちの菜園で作っていた。

ピーマンやナスは畑で収穫したもの。サトイモも採れたてだ。

妻(71): 「50円100円かもしれないけど、こういうのを買わなくていいので助かります。ヒットって言います。お父さんヒット」 2022年7月に行われた「食品の値上げにどう対応するのか」という調査(タキイ種苗)では…。

1位 値上げの影響の少ない食材を買う 48.0% 2位 まとめ買いをする 27.0% 3位 複数の店舗で値段を比較する 26.0% 4位 対応の予定はない 23.2% 5位 家庭菜園などで食材を自給する 9.2% 5位に自給自足もランクインした。今後はこの夫婦の様な自給自足をする家庭も増えてくるかもしれない。