「ストレッチ専門店」が話題になっている。鍛えるのではなく、とにかく伸ばす。「人生100年」といわれる今の時代、自分の体と向き合う老若男女の人間模様を取材した。

■肩こりや腰痛に悩む人たちが来店するストレッチ専門店

 名古屋市中区栄の地下街にある「ポジティブストレッチ」。

仕事の合間を縫って訪れたという男性が、足の筋肉をじっくりと伸ばしていた。仕事は社会保険労務士。連日のデスクワークで、足にだるさを感じたという。 社会保険労務士の男性(40代): 「これ(股関節のストレッチ)が一番怖いですね。切れるんじゃないかと…」

トレーナー: 「切れることはないので安心してください。社会人になると体を動かす機会減りますもんね」 社会保険労務士の男性(40代): 「いやーもう全然ですよ」 トレーナーと会話しながら、1時間のストレッチ。 社会保険労務士の男性(40代): 「スッキリしました。これでもうちょっと頑張れます」

身も心もリフレッシュした様子だ。  事前予約制の「ポジティブストレッチ」。コースは1回30分・60分・90分から選ぶことができる。

トレーナーのサポートがあることで、深い筋肉を伸ばすことに繋がるといい、肩こりや腰痛などに悩む人が多く訪れている。

■トレーナーの愛のムチに「イテテテ」と悲鳴も…

介護士の男性(53): 「あー痛い」 トレーナー: 「痛いはダメです。痛気持ち良いで」

「痛い痛い」とうめきながらストレッチに身をゆだねるのは、介護士の男性(53)。人が相手の介護の仕事。日頃の疲れからか、体のあちこちがカチコチに…。

トレーナー: 「力抜いてください」 介護士の男性: 「あ〜痛い、イテテテ…」 トレーナー: 「そんなに力入れてないです」 介護士の男性: 「そう…ですね、そうですね…。あー!痛い!!」 トレーナー: 「痛くないです!(笑)」 トレーナーの愛のムチに悲鳴を上げながらも、ここに通う理由は。 介護士の男性: 「体が柔らかくなると、仕事で痛めにくくなるのかなと思って。股関節とか、若い頃より固まっている感じがすごくして、自分でなかなか伸ばせないので。痛すぎると思ったら加減してくれて…。あとはぐっすり眠れるんじゃないかと思って」

■プロのアスリートもメンテナンス「自分でやるのと全然違う」

 プロのアスリートも、ここで体をメンテナンスしている。篠田龍馬(しのだ・りょうま 32)選手と田淵広史(たぶち・ひろし 23)選手の2人。 篠田龍馬選手: 「フットサルです。名古屋オーシャンズで、ゴールキーパーをやっています」 フットサル「Fリーグ」1部・名古屋オーシャンズの選手だ。現在、リーグ5連覇中。圧倒的な強さを誇る、リーグ唯一のプロチームで活躍している。

3年前からポジティブストレッチがチームのサポートをしていて、こうして選手が体のケアに通ってくる。 篠田選手: 「ケツのちょっと左かな、硬くて。あ〜」 トレーナー: 「これ大丈夫ですか?」 田淵広史選手: 「大丈夫です。めっちゃ気持ちいいです」 2人ともポジションはゴールキーパー。至近距離のシュートを止めたり、素早くボールを投げるには、肩甲骨の柔軟性が特に大事だという。

田淵選手: 「フットサルって、足元とかスローとか結構大事なところがあるので。自分が普段できないストレッチを、人にやってもらうのと自分でやるのと全然違うので」

■ペンを拾うのがしんどくなった男性「可動域広がる気がする」

 年齢とともに硬くなった体を柔らかくしたいという人も訪れる。キャリアコンサルタントの男性は、“深刻な悩み”を抱えていた。

キャリアコンサルタントの男性(55): 「ペンを落とした時に拾うのが、ある時しんどくなったんですよね。いけないな、これ(体が)曲がらなくて、講師が落としたペンを拾えないっていうのはシャレになんないし…」

企業の研修などに、講師としても招かれるというこの男性。大勢の前でアツく話している人間が、カチコチの体でペンも拾えないというのは、ちょっとカッコ悪いかもしれない。

もう一度、「ペンを拾える」自分を取り戻すために。 Qペンも拾いやすくなった? キャリアコンサルタントの男性: 「そうかもしれないです、(前屈が)8〜9センチ伸びていましたね」 ペンを拾う以外にも、柔らかくなった体で楽しみなことがあるという。 キャリアコンサルタントの男性: 「やっぱり可動域広がるような気がしますよね、テイクバックが。早く振ってみたいです。練習、今からでも行きたくなっちゃいますね」

ゴルフを楽しみにしていた。

■器具にぶら下がりハードなトレーニングも…ストイックな71歳女性

 71歳の伊藤恵美子さんは、散歩中にこの「ストレッチ専門店」を見つけて以来、すっかり常連だ。

トレーナー: 「はがしていきますね」 伊藤さん: 「あー気持ちいい。このはがしが気持ちいいんですよ」 肩回りの縮んだ筋肉が緩み、血流が良くなるという「肩甲骨はがし」。常連に人気のメニューのひとつだという。

御年71。ストレッチも入念だが、「元気の秘密」は他にもあった。毎朝7時から欠かさない、30分間のウォーキングだ。

伊藤さん: 「朝からこれをやると、代謝があがって元気になります。今日とてもいいですね、涼しい」 季節を感じながら、急がず無理せず。長続きの秘訣だ。 そして、30回の腕立て伏せも。これも日課だという。

今では器具にぶら下がって筋トレもこなす伊藤さん。なぜここまでストイックに…?

伊藤さん: 「やっぱり(健康でいることが)好きっていう事と、自分の身体を大事にしたいなということはあります」 「人生100年時代」に、老若男女が自分の体と向き合う場所。流行りの「ストレッチ専門店」は、いきいきとした思いであふれていた。