愛知県常滑市の「紺屋(こんや)のナミホ」は、昔ながらの伝統技法にこだわり、天然素材の染料でつくる藍染の工房です。  店主の桑山奈美帆さんに話を聞きました。

染料は、表面に泡が立っています。

店主の桑山奈美帆さん: 「いま発酵しているので、ブクブクギラギラした青い染料なんですが」

知多半島で栽培した蓼藍(たであい)の葉を発酵。

スクモという染料の元にして、灰汁(あく)、酒、小麦の皮のフスマを合わせた天然の染料です。

 手袋をせずに作業する桑山さんの手は、藍色に染まっていました。

桑山さん: 「結構やっていただくとわかるんですけど、染料って真っ黒で中が見えないので、その中で手探りでやろうと思うと手袋をしていると煩わしくて、基本的には素手でやっちゃいますね」 普通に生活していれば2〜3日ぐらいで落ちるそうですが、毎日染料に手を入れているため、元の色に戻ることはほとんどないといいます。  ハンカチの藍染を体験させてもらいました。生地を折ったり、道具でつまんだりすると、藍に染まるところと染まらないところが、偶然の模様を生み出してくれます。

色素を引き出す菌の働きを良くするため、染料の桶は、冬場は容器を電気毛布で温めることもあります。毎日、菌の健康チェックは欠かせないといいます。

桑山さん: 「(菌が)弱ってきたら色を出さなくなってくるので、そうしたらお酒などのエサを入れてあげたりとか、アルカリが下がってきたら、貝灰(かいばい)といって貝を高温で焼いた灰などを、エサとか栄養分として入れて管理して…」 まさに「生きている染料」。

広げて、しっかり水洗いすると…。

つまんだ部分は「小さい花の柄」に。

世界に一つだけの花柄のハンカチに仕上がった。 2022年12月1日放送