「コーンスープ」といえば、あまり地域で味が違う印象はありませんが、名古屋のコーンスープは独特だといいます。街の人の認識や、県外でも話を聞いて調べました。

■地元で聞いた「名古屋のコーンスープは独特?」自覚がない名古屋人

 名古屋のコーンスープは。本当に独特なのでしょうか。名古屋の繁華街栄で聞いてみました。 3人組の女性: 「そうなんですか」 「知らない」 別の女性: 「え、そうですか?名古屋のコーンスープ、そうですか?そうかな?」 2人組の女性: 「あんまり、関心そんなに持ったことない」 「コーンスープって全国的に一緒だと思っていますけど」

別の2人組の女性: 「思わない、慣れているから」 「独特ということの、あなたの言っていらっしゃる意味がわからないんだけど」

質問自体の意味が分からないという声もありました。そもそもコーンスープの地域性をそこまで意識したことがないという声がほとんどでしたが…。 男性: 「コクというか、何が入っているかわからないですけどね、ちょっと濃厚ですかね」

特徴に気付いている人がいました。 男性: 「(他の地方の)結構いろいろな飲食店に行った時に、やっぱりサラサラというか、スープって感じなんですけど、名古屋は表面に膜が張った感じのコーンスープが多いので、確かに今言われてみればそうだなって」 この男性も意識はしていなかったそうですが、言われてみれば他とはちょっと違うように感じると話してくれました。

■名古屋を代表するメーカーのコーンスープ 担当者の認識は

 真相を調べようと、名古屋めし料理研究家のSwind(スインド)さんに話を聞きました。

Q.名古屋のコーンスープは独特ですか? スインドさん: 「普通だと思っていたんですけど、どうやら独特みたいですね」 独特なのは間違いないようです。 スインドさん: 「どうも他の地方の方に聞くと違うと、独特だと。まず一番言われるのは、濃いというところですね。濃厚っていう、名古屋って感じがするっていう」 先ほどの男性も言っていたように「濃い」というのがその特徴だといいます。

スインドさん: 「今日はスーパーで普通に売っているコーンスープを3つ用意しましたので、ちょっと飲み比べていただければと思います」 スインドさんが用意してくれたのは、メーカーの異なる3種類のコーンスープです。実際に飲み比べてみました。

3種類のうち、最も濃いと感じたスープをスインドさんに伝えると…。 スインドさん: 「これがスジャータさん。名古屋を代表するメーカーです」 最も濃いと感じたものは、名古屋が本社の「スジャータめいらく」のコーンポタージュでした。

スジャータのスープは本当に濃く作られているのでしょうか。

スジャータに電話で聞いてみました。 スジャータの担当者: 「濃くしているというような認識はないです」 濃いという認識は「なし」という回答。 スジャータの担当者: 「レストランで提供されるような本格的なコーンポタージュを、一般の家庭で味わっていただきたいと願って開発したものなので、高級な味わいにするということでそのように感じていただけているのかもしれません」

今から44年前(1979年)に誕生した、スジャータめいらくのコーンポタージュ。このコクはあくまでも本格的な味わいを意識した結果で、名古屋の人のために濃くしたわけではないということでした。

■名古屋を代表する「あさくまのコーンスープ」も濃い 店の認識は

 スインドさんが、名古屋でもう1つ、コーンスープが愛されている店として教えてくれたのが愛知発祥「ステーキのあさくま」です。

あさくまの名物といえば、コーンスープです。確かにトロットロで、見た目の質感から濃さが想像できます。

「ステーキのあさくま」の店長: 「飲んでみるとやはり、濃厚でございますね」

実際に飲んでみると、確かに濃さを実感します。 スインドさん: 「これだけ濃いので、私はご飯にかけて食べます。それが当たり前だったんですよ」

店長: 「多分、お子さんなんかよくやってらっしゃいますね」 Q.スープが濃いからですか? 店長: 「そうですよね、そうだと思います」 しかし、なぜこれほど濃いのでしょうか。 店長: 「朝、収穫しましたスイートコーンを、すぐスチームをかけているというところじゃないでしょうかね」 濃い理由は、糖度が上がった収穫したばかりのスイートコーンを使い、7時間かけてじっくりスチームしているからだといいます。48年前に誕生し、店だけではなくスーパーなどでも販売され、大人気の商品です。

スインドさん: 「やっぱり濃さですよね。あさくまさんにしろ、スジャータさんにしろ、名古屋のメーカーが出すものは濃い味に仕上がっていると思います。とろみもちょっと強めのものが多いかなと思います。その味がやっぱり基本にあるので、まずこの濃さを求めてしまうというところですね。自分で作る時も、やっぱり濃い味に仕立てていくっていう方が多いのでないかなと思います」 スインドさんによると、名古屋では昔からレストランやスーパーなどで濃厚なコーンスープが提供されていたため、家庭で作る際もその濃い味付けが定番となり、今では意識しなくなるほど「濃さ」が浸透してしまったのではないかということでした。

名古屋の人に、コーンスープの好みの味を聞いてみました。 女性: 「ドロドロっていうか、なんか粘度が高い方が好きです」 別の女性: 「ドロドロ系です、うちは。濃厚さが違うかな。シャビシャビよりいいかなって」 また別の女性: 「(市販のものは薄いので)私、2袋使っちゃう。ドロドロにして食べている」

やはり濃厚でドロッとしたタイプが好きという人が多いようです。

■最後に横浜のあさくまで聞いた 名古屋のコーンスープは濃いのか

 この名古屋独特の濃いコーンスープを、他の地域の人はどう思っているのでしょうか。神奈川県横浜市の「ステーキのあさくま 鶴見店」でお客さんに感想を聞きました。

女性客: 「濃厚な感じがします。コーンの感じがある。ちょっとトロっとした感じで、サラサラじゃない感じ」

男性客: 「味が濃い、コーンの味が濃いなっていう印象です。普通の市販の袋の粉のやつよりも、そういう感じですよね」 常連の女性客: 「濃い感じしますよ。美味しいですよ。トロっとした濃いような深みがある。美味しいと思います」 名古屋のコーンスープは、他の地域の人からも認める「濃さ」だとわかりました。 2023年1月31日放送