竹は夏場には1日に1メートルも伸びることもあり、その勢いが「竹害(ちくがい)」と呼ばれる社会問題になっていますが、竹を資源として使おうという動きがあります。

■放置され土砂災害の原因にも…ドイツから帰国し故郷で竹林整備の活動を始めた女性

 空に向かって真っすぐ伸びる竹。夏には、1日に1メートルも成長します。

生活の道具や食料として、古くから栽培されてきましたが、戦後になると輸入ものやプラスチック製品が出回り、竹林は放置されました。荒れた竹やぶは、土砂災害の原因にもなっています。

「おおぶ竹林循環プロジェクトBUNKAI」は愛知県大府市で週に一度、放置竹林を再び美しい竹林によみがえらせようと活動しています。

代表は大府市出身の箕浦希奈(みのうら・きな)さんです。

箕浦さんは、グラフィックデザイナーとしてドイツで生活していました。

ドイツの人たちの環境への高い意識に触れ、2年前の2021年、地元で竹林整備の団体をつくりました。

竹林の整備には、大学生などのボランティアが協力してくれています。

「おおぶ竹林循環プロジェクトBUNKAI」の代表・箕浦希奈さん: 「青い竹の中から枯れている竹がパズルみたいになっていて、これを取り出すのにもすごい時間がかかるし、運び出すのもすごい労力が要ります」

荒れた放置竹林は不法投棄の場所にもなっていて、これらのゴミをゴミセンターで引き取ってもらうだけでも、50万円くらいの費用がかかるといいます。

■「無敵の資源」炭や歯ブラシ、生理用品にも使われ始めた竹

 集めた竹は、燃やして“竹の炭”にします。竹の炭は、水はけがよく保湿力も高いのが特徴で、これを取り入れた畑では、野菜の成長が早くなりました。

つむぎて農園の代表・杉山修一さん: 「竹炭って中が空洞になっているので、その中に微生物が住みやすいんですって。微生物が増えることによって、土の中の生態系が豊かになる」 竹の炭は袋詰めにして販売し、ペレット状にして、ネコ用の砂にしました。

箕浦さん: 「竹の可能性でいうと、資源としてこんな無敵なものはないなって思う。繊維の塊っていうことと、成長率がとにかく早い。じゃんじゃん使っていっても大丈夫っていう素材は中々ないです」

東京・渋谷、2022年4月にオープンしたホテル「all day place shibuya」では、竹を使った“歯ブラシ”が注目されています。

ホテルのスタッフ: 「オーガニック竹歯ブラシになります」

この歯ブラシを作っているのは、名古屋市昭和区の「MiYO Organic(ミヨ・オーガニック)」です。 MiYO Organicの代表・山本美代さん: 「持ち手の部分が竹でできていて、ブラシの毛の部分もバイオベースといって、植物由来のものでできている商品となっています。パッケージも実は竹でできた紙で、100パーセント竹紙というものになっています」

竹歯ブラシは2022年の「グッドデザイン賞」を受賞し、累計140万本が売れたヒット商品です。最近では、ホテルだけでなく、ドラッグストアでも展開しています。

ほかにも、竹のカミソリや…。

竹の綿棒。

クシには、竹の油分が入っていて、静電気が起きにくいと評判です。

MiYO Organicの代表・山本さん: 「竹が3年ぐらいで大人になるので、“枯渇しない唯一の天然資源”ともいわれている。何より見た目的にもカワイイってところがいいのかなって」 「竹」を使って女性用の衛生用品を展開している会社もあります。「limerime(ライムライム)」というブランドです。

ヴィースリー代表・須藤紫音さん: 「『吸水パッド』といわれるものなんですけれども。表面材のところが竹繊維でできたものです。シルクのような肌触りで、非常に気持ちの良いものになっています」 竹の繊維を使った生理用品は肌に優しく、消臭性と抗菌性に優れています。

ヴィースリー代表・須藤さん: 「これまではいわゆる石油由来のポリマー、そういったものが入っているものが主流だったんですけど、生分解するまでに500年から800年かかるといわれています」

海洋プラスチックごみの中で、生理用品は5番目に多いといわれています。土に還る「竹」の需要が、世界中で伸びています。

■竹製品の多くは中国産 国産の竹を生かすための課題

 しかし様々な「竹の製品」の多くは中国産で、日本の竹で作るには採取する場所と加工する場所が遠いことや、加工する場所がない、刈る人がいないなど、課題が山積みになっています。 ヴィースリー代表・須藤さん: 「中国では“木材といえば竹”というように伝統的に色々な技術・製法が優れています。ゆくゆくは日本の資源を生かしていきたいなとは思う」

愛知県大口町の自動車部品メーカー「東海理化」では11年前の2012年、高知県のメーカーと共同で“国産の竹”を使った「自動車のハンドル」を開発しました。

以来、竹の可能性に注目しています。

また、竹をチップ状にして、樹脂と混ぜ合わせた新素材「Bamboo+(バンブープラス)」を開発し、車の樹脂パネルやシートの布などに加工しています。

東海理化 材料技術部の担当者: 「こちらは、合成皮革になりますけど、この表面の素材に竹の繊維が入っております。サラッとした触感であるとか、こういった竹の繊維が入った樹脂で成形することによって、特徴的な模様が得られますので、意匠部品などで使うという提案をさせていただいております。強度を確保できていますし、耐熱という面でも、従来の樹脂同等であるということが特徴になります」

今後は、日用品や住宅用の素材としても、実用化を目指しています。

■“竹害”ではなく“竹財”に…放置竹林整備する活動団体の女性

 箕浦さんが行っている竹林再生プロジェクト。週に一度の活動には、飛び込み参加の大学生など若い世代の参加者が増えています。

箕浦さん: 「(参加者に)何で来てくれたんですか、今日?」 女子大学生: 「卒業研究で、竹を使った建築を考えていて」 箕浦さん: 「入れ替わり立ち替わり入っていくのが理想だなと思っていて。みんなのちょっとずつの力が沢山集まって繋がっていくと、無理なく続けられるんじゃないかなと思ってて」 この場所は、箕浦さんが通っていた小学校の裏山です。竹林は子供たちの遊び場でした。

箕浦さん: 「こういう住宅街にある竹やぶが意外に多くて、どこでもあるんですよ、名古屋でもありますし。こういう人の目につかないような、見捨てられている場所に光を当てることで、何か色々、可能性が広がるんじゃないかって」

箕浦さんは、竹の無限の可能性を信じています。 箕浦さん: 「“竹害”というのは言われてますけど、それを“竹財”にしていきたいねって。うまく資源を循環させることができたら、いろいろな地域でうまく生かせるんじゃないかって色々実験しています」 2023年6月26日放送