名城大学・吉野彰教授のノーベル化学賞受賞決定。今回認められた功績は「世界を変えた」とも言われるリチウムイオン電池。一体どんなもので、どんなところで使われているのでしょうか。

吉野教授:
「私自身、ちょっと今大変興奮しておりますんで。(報告は)私の部屋の固定電話の方にかかってまいりました。まず『コングラッチュレーション』ときましたので、『あっ、きたかな』と思いました」

「きたかな」…受賞決定の瞬間をそう振り返った旭化成の名誉フェローで、名城大学の吉野彰教授(71)。リチウムイオン電池の開発が評価され、ノーベル化学賞の受賞が決まりました。

 今やなくてはならないスマホや、ノートパソコンやデジカメなど、実はいたる所でその「リチウムイオン電池」が使われているんです。

 吉野さんは2014年、工学分野のノーベル賞と言われる「チャールズ・スターク・ドレイパー賞」を受賞。今年6月には欧州発明家賞も受賞しました。

 “世界を変えた”とも言われるリチウムイオン電池の開発ですが、実は売れない時期が長く続きました。

吉野教授:
「正直言いまして、約3年ぐらいまったく売れない時期がありました。真綿で首を絞められるような苦しみじゃないでしょうか。それがある日突然の如く売れ出したのが1995年なんです、Windows95の年ですね。私自身が非常に幸せだと思っておりますのはですね、リチウムイオン電池はIT革命と言うとんでもない大きな変革とともに生まれ育ってきたんですよね。広く使われ出したのが今でいうガラケー、携帯電話ですよね」

 まさにIT革命の波を作ったとも言えるリチウムイオン電池。今ではこんなところにも…。

トヨタ自動車の広報担当者:
「こちらのプリウスPHVにはリチウムイオンの電池が、後ろの床下に搭載しております。電気の力を使って走ることによって、燃費の向上に役立っております」

 そう「プラグインハイブリッド車」などの次世代自動車。燃費がよく環境にも優しいと注目されている次世代自動車の動力源としてなくてはならないのがリチウムイオン電池なんです。

 まさに愛知の「モノづくり」をも支えているこの発明。それを手掛けた吉野教授、印象的なのが顔をくしゃっとさせるその愛らしい笑顔。その笑顔で多くの方と親交があります。

 15年来の付き合いだという豊橋技術科学大学の桜井庸司教授(64)は、吉野さんとは“愛煙家仲間”。

桜井教授:
「学会会場でまず会うのは喫煙所なんです。そこで会って『あ、こんにちは』と(笑)。いつものにこやかな顔で紫煙をくゆらせるという感じで。ふっと寄ってきて話し始めるという」

 毎年のように名前が挙がりながら受賞にいたらなかった吉野教授ですが、喫煙所トークでは本音が垣間見えたことも。

桜井教授:
「リチウムイオン電池だったら(ノーベル賞を)取れるだろうと、取りたいとおっしゃってました。今まで封印してきたノーベル賞と言う言葉を使って『おめでとうございます』と(言いたい)」

 また中部大学の武田邦彦教授は吉野教授と旭化成でともに働く同僚でした。

武田教授:
「(5年くらい前に)もうそろそろノーベル賞どうなんですか?と聞くと『いや、もうちょっとね…』という感じですよ。ものすごく努力している人、簡単に言えば実直な人なんですよ。他の人が話しかけても電池のことしか話さない、そんな感じの人です」

吉野教授:
「研究者というのは基本的にですね、1つは頭が柔らかくないといけないんですよね。柔らかさ・柔軟性と、もう1つが真逆の執着心というんでしょうか、しつこくしつこく最後まで諦めない。この2つが必要だと思います。間違いなくゴールがあるんだということさえ確信が持てればですね、あとは少々の苦労があっても、必ずやり遂げられると思うんですよね。リチウムイオンの本当の姿というのはまだ謎だらけなんですよね。リチウムイオンとは何ぞやということを、もう1回原点に返って知っていかないといけませんねと。そこから今までとは全然違う発想の、また新しい技術が出てくる可能性がありますねということで、私自身は非常にワクワクしています」

 リチウムイオンはまだ謎だらけ…笑顔でそう語る71歳の吉野教授の目は情熱に溢れていました。