愛知県蒲郡市の旅館女将に協力してもらい、日本独自の文化「おもてなし」を脳科学で解明した論文が発表されました。おもてなしのプロは、マイナスの表情に大きく反応していました。  6月10日から訪日観光が再開され、インバウンドに回復の兆しが見えてきました。そこで再注目されているのが、日本独自の文化「おもてなし」。そのおもてなしを脳科学的に解明した論文が、世界で初めて発表されました。

 論文を書いた自然科学研究機構・柿木隆介名誉教授に話を伺いました。 柿木名誉教授: 「内閣府から依頼がありまして、東京オリンピック前に日本独特の文化『おもてなし』の文化を解明したいと」  実験に参加したのは、蒲郡市の温泉旅館の女将たち21人と接客歴がない女性19人。

 急須が回っている時に、「怒った顔」「笑った顔」「無表情」が現れる映像を見せ、どの映像に脳波が大きく反応かを実験をしました。接客歴がない人たちが一番大きく反応したのは笑った顔ですが、女将たちは…。

柿木教授: 「(女将たちは)わずか0.1秒というものすごく早い段階から、怒った顔を見た時には無意識のうちに脳が鋭敏に反応している」

 女将たちは「怒った顔」に接客歴がない人たちよりおよそ3割大きく反応していました。

柿木教授: 「(この反応が)温泉旅館のおもてなしの根幹にあるんじゃなかろうかと」  柿木教授の実験に参加した女将歴35年の稲吉あけみ女将。

 創業50年の西浦グランドホテル吉慶で2代目女将をしています。

 実験結果を伝えてみると…。 稲吉女将: 「確かに無意識ではありますけど、気にかけているなと思います。笑顔でお話した方たちも覚えていますけど、それより何より気に入らなかったところがあったかなとか、表情に見える方の方が気にかかる」  チェックアウトのピーク時、全てのお客さんの表情に目を配ります。そんな中…。

稲吉女将: 「お誕生日おめでとうございます」  急にお客さんに花を渡す稲吉女将。

89歳の誕生日を迎えた客: 「突然のことですけどね。ちょっと待ってと言われて、花を持ってきてくださった」 稲吉女将: 「たまたまお誕生日だったんだよと教えてくださったので、ちょっとお花を」

 何よりもお客さんが笑顔になるよう心掛けるのが女将の役目。ここ3年で25回泊まっている常連客は…。 常連客: 「細かいところに気を遣っていただいたり、時には慰めていただいたり。その他すべて気に入っております」

 お客さんに「怒った顔」をさせない…。 稲吉女将: 「どうして欲しいのかを、こちらの方から先に気付いて差し上げられるようなおもてなしを心掛けています」