家事や家族の世話を日常的に担っている子供=「ヤングケアラー」について、問題に取り組む専門家や、実際にヤングケアラーを経験した人に課題を聞きました。  ヤングケアラーの問題に取り組んでいる日本福祉大学の野尻紀恵教授と、実際にヤングケアラーと向き合っている半田市社会福祉協議会の前山憲一さん。

野尻教授: 「(ヤングケアラーは)介護を必要としているお年寄りが家にいて、介護をする人が子供しかいないとか、幼い子供たちがたくさんいて、その幼い子供たちを一番上の子がみているとか。何らかのケアが必要なご家族ために、子供たちの時間が奪われていたりとか、自由がなかったりという子供たち」

 子供が家族をケアするヤングケアラー。国が2021年に行った調査では、世話をしている家族がいると答えた中学生は5.7%で、約17人に1人にあたります。昔から潜在的に問題になっていましたが、国や県による実態調査などで、2年ほど前にようやく認知され始めました。

 実際に小学生のころから母の世話をしていた女性に、話を聞くことができました。 ヤングケアラーだった佐藤さん(仮名): 「お母さんが精神的な病気を持っていて、徒歩でどこかに行っちゃう。携帯を持っていない、車の鍵がない状態でどこかに行っちゃう、警察に捕まる、補導される、みたいなことがあるので。お母さんが心配だからちょっと早めに帰って来たり、部活をお休みしたり学校をお休みしたりとか」

 佐藤さん(仮名)は4人家族で、母親に精神障害があり、仕事で家を空けることが多い父親のほか、2歳下の弟がいます。10歳ごろから17歳まで、母の世話をしていたヤングケアラーだったといいます。

佐藤さん(仮名): 「なんで自分の家はこうなんだろうとか、なんで自分がやらないといけないんだろうとか、すごく悩んでいたこともありますね。全部の事情を知っている人はいないです。話したところで同情されるのも嫌だし」  大変な思いをしてきた佐藤さんでしたが、周りには話せなかったといいます。こうした子供はかなり多いといいます。 野尻教授: 「自分にそういうことを押し付けている親が悪いと言われるんじゃないか、お母さんが批判されるんじゃないか、だから言えないって思っているような気がしてならないです」 半田市社会福祉協議会の前山さん: 「助けてと言えないのは本人の責任ではなくて、助けてと言えないような空気とか社会を作ってしまっているこちら側の問題です」  前山さんが所属する半田市社会福祉協議会では、ひとり親家庭を支援するため食料の寄付を行っています。その活動の中、ヤングケアラーの発見に繋がることも多いといいます。

前山さん: 「『他に困ったことない?』と聞いてみると、実はヤングケアラーだったというのが見えてきたりするので。寄付があるおかげで、SOSを発信していた子供を見つけることができたというのは間違いなくある。1人にならずに、世の中捨てたもんじゃないから、ちゃんとあなたのことを応援してくれる人はいるから大丈夫だよということは、わかってもらえるといいかなと思います」