水上バイクは「密を避けられるレジャー」としてコロナ禍の中で人気が高まっていますが、関連の事故も増えています。事故の現状とその背景を取材しました。  人気が高まっている「水上バイク」。しかし、それに伴い関連の事故も増加。2021年の事故件数は、2020年に比べ1.5倍となっています。

こうした事情を受け、この春、愛知と三重でも第四管区海上保安本部が中心となり、マリンショップなどとともにマナー向上や事故防止などを呼びかける「水上オートバイ安全推進チーム」を結成。 そのメンバーでもあるレンタルショップのインストラクター西村浩司さんに、水上バイク事故が増えている理由について聞きました。

インストラクターの西村さん: 「みなさん初心を忘れちゃうんですよね。免許を取って勉強したことをちゃんと実践してもらえればいいんですけど、『ちょっとかっこよく走ろうかな』とか、そういういうことが起こるので、事故につながると思うんですよね」 スリルを味わったり、疾走感を得たいがためにスピードを出し過ぎるなど、マナーの悪い運転が増えていると話します。  兵庫県明石市では2021年、マリンスポーツを楽しむ人たちのすぐそばを、水上バイクが猛スピードで走行。危険な運転をしたとして、運転手の男性が殺人未遂などの疑いで書類送検されました。 西村さん: 「(水上バイクは)120キロぐらいは出てくるので、目の前をそのスピードで走られるとさすがに怖いですよね」  さらに、ボートなどをけん引している最中に事故が起きるケースもあります。 西村さん: 「結構な遠心力があるんですけど。ハンドルをパっと切りますと、たいがい飛びます」 2018年8月には岐阜市の長良川で、水上バイクに引っ張られていたボートが波消しブロックに衝突し、乗っていた2人が死傷。

8月28日にも、岐阜県美濃加茂市の木曽川で、水上バイクが引いていたゴムボートから中学生が振り落とされ、太ももを骨折する重傷を負っています。

 カーブの際の遠心力がどれほど強いのか体験してみると、しっかりとボートの端を掴んでいても、かなりの遠心力が体にかかることもわかりました。

西村さん: 「(転落すると)遠心力で水面の上を転がるので、その時に水の中に手とか足とかがすぽっと入っちゃうと、ブレーキがかかってしまって骨折とかしちゃいますね」

 また、ジェット水流の威力が強力な水上バイク。過去には水中に転落した人が、下半身から体内に入ったジェット水流により、内臓損傷で死亡する事故も起きています。

西村さん: 「(水上バイクの事故は)悲しいですよね。すごい心が痛いですよね、そういうのを見ると」  西村さんは、まずは運転手がスピードを出し過ぎないことや、同乗者も体を守る手段を理解しておくことが大切だと話します。

西村さん: 「軽く考えていてはダメですね。運転手も遊ぶ前に、友達とかに伝えて『こういうことがあるからむやみに身を乗り出さないで』とか。運転をきちんとマナー良くしてもらうというのが一番だと思う」  西村さんは、他にも事故が多い理由を指摘しています。水上バイクの運転には『特殊小型船舶免許』が必要ですが、費用は6万円程度で合格率も95%以上と、比較的ハードルが低くなっています。

また、海上は原則『航行の自由』が認められているので、陸から2海里(約3.7キロ)以内であれば制限速度もありません。さらに海の上は信号がないなど、取り締まりも難しいという事情があります。

 危険な運転をしたとして男性が書類送検された兵庫県明石市では、2022年3月に「水上オートバイ等の安全な利用の促進に関する条例」を施行。危険行為に対して6か月以下の懲役または50万円以下の罰金を科すことを決め、市内13カ所に監視カメラを設置しました。

自治体単位で危険な運転を取り締まろうという動きも出てきています。