人種や宗教など異なる文化の人間同士が直面する葛藤を描いた芝居「負傷者16人」が八月九〜十三日、川崎市麻生区の劇団民芸の稽古場内スタジオMで上演される。企画、演出する同区在住の団員西部(にしべ)守さん(31)は「小空間の稽古場公演ならではの魅力を楽しんでほしい」と話している。 (山本哲正)

 物語の舞台は一九九二年、多様な民族が暮らすオランダ・アムステルダムの小さなパン店。経営する初老のユダヤ人男性ハンスは、道に血まみれで倒れていたアラブ人青年マフムードを店で雇う。それぞれ語れぬ過去を持つ二人を中心に、家族のようにつながっていく人々を描く。民芸によると、作者のエリアム・クライエムはユダヤ系米国人。二〇〇四年にブロードウェーで初演され、高い評価を得た作品という。

 稽古場公演は市民に民芸を知ってもらう目的で九三年に始まった。料金は通常よりも大幅に下げて設定をしている。

 西部さんは、正義や命の尊さを考える素材になるとしてこの作品を選んだ。稽古場内のスタジオは舞台と客席が近く、指先の力の入り具合、思考をめぐらす時の目の動きを見てほしいという。

 物語の中で激しく苦悩するマフムードを演じる本廣(もとひろ)真吾さん(31)も麻生区在住。「マフムードは、どこにでもいるような青年。宿命に邪魔されるが、日常の喜びを味わう普通の部分をちゃんと演じたい」と抱負を語った。

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 稽古場は、麻生区黒川六四九の一。問い合わせは劇団民芸=電044(987)7711=へ。