日立市が市民に向けて天気予報を発信して六十五年。自治体による気象予報サービスは全国でも珍しい。十八日に開庁する市役所新庁舎でも、これまで通り観測と予報を続けることが決まっている。担当する職員は「防災面で役割が大きくなっている。市民にもっと活用してもらえるようにしたい」と使命感に燃えている。 (越田普之)

 日立鉱山が設置した気象観測所をルーツに、市内の天気予報を担う市天気相談所は誕生した。日立地方の気象観測は一九〇九年、日立鉱山で始まった。当時、銅の製錬時に発生する煙で、住民や農作物に大きな被害が出た。このため、煙が人里に流れ込まないよう気象を観測し、風向きによっては溶鉱を制限した。

 市内の神峰山山頂などに観測所が設置されたが、煙に含まれる亜硫酸ガスを除去する装置が開発されると、五二年二月に神峰山観測所は廃止。市天気相談所は、日立鉱山の観測を引き継ぐ形で同年六月に設立され、九月から観測を開始、翌年には予報業務許可を取得した。

 自治体による気象予報は、かつて東京都八王子市や大阪府羽曳野市でも行われていたというが、いずれも業務を終えている。今も予報業務の事業者として許可を受けているのは、日立市のほかは広島市だけだ。

 市役所第二庁舎五階に拠点を移して五十年間、日立市天気相談所は気温や降水量、風向にとどまらず、職員の目視で雲量や視程なども観測してきた。市内六カ所の観測拠点では降水量などを自動測定している。

 気象予報士の資格を持つ四人の職員が、観測データなどを基に天気を予測、日に二回、ホームページやツイッターなどで予報を発信し、電話やメールによる問い合わせにも応じている。市天気相談所によると、普段は工事関係者からの問い合わせが多く、運動会や祭りなどのシーズンになると問い合わせが集中する。

 太平洋と阿武隈山地に挟まれた市内は、エリアによって天気が大きく異なるため、きめ細かい観測が重要という。自治体が気象観測と予報を担う意義について、市天気相談所の池田恵介係長(39)は「局地的な観測を続けており、目視による独自の蓄積もある。テレビなどの予報では拾いきれない部分を途切れることなく補っていきたい」と話している。