農家が姿を消して久しい墨田区で、江戸時代に栽培が盛んだった「寺島ナス」の畑を復活させる住民たちによるプロジェクトが進んでいる。東京五輪・パラリンピックがある二〇二〇年までに地場野菜が食べられる料理店を増やし、「寺島ナスで、おもてナス!」のが目標。二十一日にはプロジェクトの報告会があり、寺島ナスを使った料理の試食もできる。 (中村信也)

 十六日午前、東武線鐘ケ淵駅に近い名刹(めいさつ)・多聞寺(墨田五)の駐車場跡地に小学四年から八十一歳までの約三十人が集まった。鍬(くわ)を振るって土を掘り起こし、雑草を取り除く。工務店経営牛久光次さん(59)は「重機を入れれば簡単だが、縁あって集まった人が汗をかき、少しずつ畑ができていくのがいい」と話した。

 「たもんじ交流農園」と名付け、今年三月に始まったプロジェクトを担うのは、牛久さんが事務局長の「寺島・玉ノ井まちづくり協議会」。旧地名で寺島町、玉ノ井と呼ばれた区北部の街おこしに取り組む団体で、これまでも東武線東向島駅前に寺島ナスのプランターを置くなどし、農業が盛んだった地域の歴史を発信している。

 寺島ナスは小ぶりで丸く、ほのかな香りがある。江戸っ子の人気を集めたが、関東大震災後の宅地化で生産が途絶えた。計画では、寺島ナスの復活を取り組みの柱に据えながら、季節ごとに江戸野菜を栽培する。収穫祭やパーティー、料理教室、食育や歴史のセミナーを年間を通じて開き、住民交流にも役立てていく。

 約六百六十平方メートルの用地は多聞寺が無償で貸してくれた。多聞寺はかつて隅田川近くに位置し、将軍に献上野菜を作る「御前菜畑(おせんざいばた)」が付近にあったとされ、江戸野菜とは縁が深い。

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 報告会は二十一日午後六時四十五分から、墨田区押上の東京ソラマチ五階「すみだ まち処」で開かれる。一般の参加も可。問い合わせは牛久さん=電090(3222)2688=へ。