秩父を拠点に活動する世界的な音楽家笹久保伸さん(33)=秩父市日野田町=が、武甲山を写した写真集「武甲山 未来の子供たちへ」(キラジェンヌ刊)を発刊した。祭礼のシンボルでもあり、石灰岩の採掘現場でもある武甲山。秩父を語るに欠かせない霊峰の姿をさまざまな角度からとらえている。 (出来田敬司)

 掲載写真は六十八枚。手前に住宅を絡めて写した一枚は、手振れをいかしながらシルエットで全景を浮き上がらせている。初冬の山腹を写した別の一枚は、湾曲しながら生える樹木と枯れススキ、大小の岩石が印象的だ。

 使用したカメラは、ニコンのほかゼンザブロニカやハッセルブラッドといった往年のフィルムカメラ。千二百ミリの超望遠レンズで狙った作品や、カメラに光が入り込み写真の一部が感光した作品など、さまざまな技が駆使されている。

 笹久保さんが武甲山に関心を持ったのは二〇〇七年ごろ。南米ペルーからほぼ三年ぶりに里帰りし、その山容に地元意識を呼び起こされた。

 ギタリストとして音楽活動を続けてきたが、次第に武甲山を自身のよりどころとして意識するように。武甲山を写した秩父出身の写真家、故・清水武甲さんの写真集など、図書館や郷土資料室の関連する図書を読みあさった。

 〇九年から週に一、二回程度、山に登った。「台風の日も大雪の日もクリスマスも正月も山を訪ねた」と振り返る。武甲山には良質な石灰岩があり、今なお採掘が続けられている。

 笹久保さんは岩肌をさまようニホンカモシカや、直径二メートルものタイヤがある鉱山用のトラックなどもとらえた。

 清水さんの写真集が出版されて四十一年。武甲山は採掘が進み、当時とは大きく変貌した。笹久保さんは「武甲山はこれからも形を変えていく。『未来の子供たちへ』と題したのは、今の武甲山を記録としてとどめることが重要だと思ったから」と話す。

 A3判変型、九十六ページ。税込み五千四百円。全国の書店やインターネットで購入できる。問い合わせは出版社のキラジェンヌ=電03(5371)0041=へ。