さっぱりとしながらも味わい深い。生産にとどまらず加工、食品検査まで担う御料牧場が製造しているものの一つが、おいしい牛乳だ。ホルスタイン種とジャージー種の乳牛約三十頭を飼育し、一日に約二百五十リットルの原乳を生産している。

 皇室の朝食などに提供される牛乳は、コクのある乳脂肪分4%程度を目指して製造する。低温殺菌で風味も落とさない。一部は宮内庁の職員食堂で二百ミリリットルの瓶に入れて販売されている。残念ながら、一般の人の目に触れることはない。

 搾乳は給餌の後の午前八時ごろと、近くの運動場で過ごした後の午後三時すぎの一日二回。搾った原乳は月、水、金曜は牛乳に、火、木曜はヨーグルトやバター、チーズなどの乳製品に加工する。濃縮した脱脂乳に乳酸菌などを加えて発酵させた「カルグルト」という飲み物もある。いずれも、本庁や皇室の要望に応じて出荷する。

 牛舎では、運動で汚れた牛のおなかの土や泥を丁寧に落とす。暑さに弱いため、夏には送風機で風を当てたり、冷たいミストを噴霧したりして体調管理に細心の注意を払う。

 乳が出る時期にない牛たちは牛舎で飼料を食べ、午後一時半ごろに放牧される。十頭近くが連れ立って一心不乱に草をはむ。

 畜産課育牛係長の戸上慎一さん(49)は「牛は清潔に保ち、栄養面でも管理を徹底しています。小さな変化を見逃さないように、よく観察しています」と話す。 (小川直人)