昨夏の決勝と同じカードとなった木更津総合戦。背番号「5」の4番打者は最後の打者が併殺打に倒れるのを見届けると、ベンチでうつむき、左手でそっとまぶたをこすった。「今年こそ甲子園に行きたかった」

 二年から主軸を務め、昨夏の決勝では3安打の活躍を見せたが、甲子園は遠かった。

 「昨年決勝まで進めたのは先輩たちのおかげ」と、新チームの主将に就任してからは、時には嫌われるのを覚悟で仲間たちに厳しい言葉を投げかけた。ただ、春先にけが人が相次いだ時は「一人でも早く復帰できるように」と声を掛ける気遣いも欠かさなかった。「チームの勝利が何より大切だったから」

 雪辱を期して臨んだ最後の夏。初戦から順調に勝ち進んで迎えた準々決勝だったが、「相手の方が一枚も二枚も力が上だった」と桜内剛監督が振り返ったように、序盤から相手の猛打にさらされた。何度もマウンドに駆け寄り、「力が入ってるぞ」「指に球がかかっているぞ」と声を掛けた。

 チームにチャンスが巡ってきたのは、5点を追う四回表。打線が一巡し、「そろそろバットの芯でとらえるぞ」と先頭打者が入る前に気合を入れた。自身の右前打を含め、2死満塁の好機を演出したが、相手は大会屈指の左腕。あと一本が出なかった。

 「悔しさを忘れず、大学に進学後も頑張っていきたい」。目を真っ赤にして、次の夢を語った。 (山口登史)