東武鉄道が五十一年ぶりとなる「SL(蒸気機関車)復活」を掲げ、東武鬼怒川線で八月十日に運行を始める「大樹」。七月十九日に試乗会があり、報道関係者ら約百六十人が乗り心地を体感した。出発駅の下今市駅では、ホームに居合わせた一般客らがカメラを向けるなど興味津々の様子。沿線でも地域住民が煙を上げて走り抜ける車両に手を振り、人気の高さをうかがわせた。 (小川直人)

 大樹は、日光市内の下今市−鬼怒川温泉間(一二・四キロ)を約三十五分かけて走る。土日と祝日を中心に一日に三往復する。東武鉄道は下今市駅で旧転車台の遺構が確認されたことをきっかけに、鉄道産業文化遺産の復元・保存や地域活性化を目指し、SL復活を進めてきた。

 試乗する人たちを乗せるため、「ボーッ」と短く汽笛を鳴らして下今市駅に滑り込む大樹は、存在感たっぷり。客車の座席に座ると、かすかに振動を感じる。まもなく出発した。

 日光の田園をゆっくりと進むと、風向きによって黒い煙が車窓に映る。「シュッ、シュッ、シュッ、シュッ」と駆動音が聞こえる。沿線にはカメラを構える鉄道ファンの姿も。情感や景色を楽しんでいると鬼怒川温泉駅はあっという間だ。

 車内で乗客を迎えるSL観光アテンダントの平ひとみさんは「SLをメインに日光の良いところを楽しんでもらえるようご案内したい」と話す。到着した鬼怒川温泉駅では、安生和宏駅長が「試運転でも多くの人が集まり、期待の高さを感じる。安全第一を心掛ける」と気を引き締めた。

 下今市駅構内では二十三日に、転車台で方向転換するSLを目の前で見学できる「転車台広場」と、SLの仕組みを分かりやすく紹介する「SL展示館」がオープンする。

 大樹の座席指定料金は大人七百五十円、小児三百八十円で、ほかに乗車区間の運賃が必要。東武鉄道各駅などで運行日の一カ月前から販売する。