四年前のこの時期に、初めて富岡を訪れたとき、町を囲む山々と雨上がりの霧の競演を見て「まるで山水画のようだ」とその神秘的な雰囲気に魅了された。空に向かってそびえる数多くの山岳の中で、不思議なほど平たんな荒船山のそばに佇(たたず)むぎざぎざした山頂の妙義山が一番印象的だった。

 妙義山という立派でユニークな山は県内では上毛三山の一つ、国内では日本三大奇景の一つとして知られるのも納得できる。若いころ、家族と一緒に地元から離れたアルプスの山々などを登山した経験はあるが、妙義山のような山は、見たことも登ったこともなかった。

 妙義山に初めて挑戦したときはまず、富岡製糸場の建設にも使われたとされる立派な御神木(ごしんぼく)の森に小道をつけるような壮大な階段を上った後、登山道の入り口でもある妙義神社の社殿の境内で準備運動をした。日光東照宮に匹敵する華麗な装飾を施した歴史的な建造物群を後にし、山腹を覆う森の中で吹くすがすがしい微風を胸いっぱいに吸いながら中間道というやや易しいコースを歩き始めた。その先に私を待っていたのは絶景の連続、スリル満点の登山経験と思いがけない出会いだった。

 個人的に、中間道で最高の眺めを堪能できるスポットは大砲岩というところだと思う。この絶景スポットにたどり着くまでは、鎖場や断崖絶壁などの難所が何カ所もあるので、初心者や高齢者にはお勧めできないが、ようやく到着したときの達成感は格別である。大砲岩に初めて登ったとき、野生のニホンザルと至近距離で遭遇したことも一生忘れられない思い出になった。前回、来日中の親を連れて行ったときはあいにくサルには会えなかったが、この自然の展望台から見える火山活動によって形成された美しい怪石の海に皆が圧倒された。また、もう一つの入り口である中之嶽(なかのたけ)神社の近くにある中間道からは、妙義山登山の醍醐味(だいごみ)とも言える石門巡りも楽しめる。

 鎖を頼りに登っていく岩場で味わえるスリル、石門をはじめとする幻想的な奇石の数々、そしてさまざまな見晴らし台から楽しめる四季折々の風景など、妙義山は登山者の楽園と言ってよいが、登るときはしっかりした準備と覚悟で挑戦しましょう。 (富岡市国際交流員)

 第2、第4日曜日に掲載します。