「借りを返すときが来た」。春日部共栄には昨夏と今春、どちらも1点差で敗れた因縁があった。

 そのときは部員たちの自己主張が強すぎるチームだった。失敗を指摘されても「自分の好きにやらせてくれ」と開き直っていた。「あれはチームじゃなかった」と振り返る。

 だが「打倒共栄」という共通の目標を掲げたことでチームは団結した。反省会では納得するまで全員で解決策を話し合った。

 そんなチームの4番を任され、厳しいトレーニングも自分から行った。入学時に40キロまでだったベンチプレスは120キロになり、打撃のパンチ力が増した。

 2点差で迎えた九回2死一塁。打ち取られれば負ける土壇場。「本塁打で同点にする」と意気込み打席に入った。これまで4打席3安打1四球と手応え十分。

 4球目。芯で捉えた打球は伸びが足りず中堅手のグラブに収まった。この日唯一の凡退が無情にも最後の夏に終わりを告げた。

 試合後には「4番として仕事ができなかった」と最後の打席を悔やんだものの、打線がつながった二回の4得点など「チームとしてやり切ったので悔いはない」と晴れやかな表情で球場を去った。 (牧野新)