日立市の久慈浜海水浴場で十九日、ドチザメ約三十匹が泳いでいるのを県警のヘリが確認した。県によると、サメが出没したのは二〇一五年以来。アクアワールド県大洗水族館によると、ドチザメは好んで人を襲うタイプではないという。飼育しやすいため、全国の水族館で見ることができるが、研究報告は少なく、いまだ生態の多くが謎に包まれている。(山下葉月)

 メジロザメ目ドチザメ科のサメで、日本や台湾、フィリピンなど太平洋北西部に生息している。母親の胎内で卵からふ化し、二十センチほどの大きさで生まれる。体長約一五〇センチまで成長する。

 アクアワールドによると、サメは世界に約五百種いる。どう猛で、人を襲うこともあるのはホオジロザメなど三、四種とされる。ドチザメは回遊せずに、水底でじっとしていることが多いという。性格がおとなしい上、環境に順応しやすく全国の水族館で飼育されている。

 良質な漁場でもある茨城沖は、ドチザメをはじめ、さまざまなサメの生息地でもある。アクアワールドの担当者は「浅瀬に現れても不思議ではない」と言うが、群れで出現するのは珍しいという。

 ほかにもドチザメの生態は分からないことが多い。昨年五月、魚津水族館(富山県魚津市)でドチザメの赤ちゃん二匹が生まれたが、水槽で飼育していた親のサメは三匹とも雌だった。赤ちゃんもいずれも雌だった。同館によると、魚類の中には、雌が精子を長期間保存しておく「貯精」や、雌が単独で子どもをつくる「単為生殖」をする種もいるが、「どんな可能性も排除しきれない」と話す。研究機関に赤ちゃんや親サメの組織の遺伝子解析を依頼しており、現在、結果待ちだ。

 温厚と言われるドチザメだが、生態がよく分かっていないため、日立市は海水浴客の不安に配慮し、砂浜から約七十メートルの沖合に、約百五十メートルにわたって水深約四メートルの海底まで防護網を設置、二十二日から営業を再開した。市の担当者は「監視員のパトロール回数も増やしているので、安心して海水浴を楽しんでほしい」と利用を呼び掛けている。