足利市の学習塾「エデュカチオ」が開設した「起業家体験プログラム」で、市内の小学生らが無農薬米の栽培に励んでいる。10月に稲刈りし、最終的に子供たちが自ら販売する。生産から販売までの総合的な体験を通じて、社会問題にも目を向ける内容で、塾を運営する渡辺紀之さん(31)は「社会に出たときに、時代の変化に対応して生きていく力を養いたい」と語る。(吉岡潤)

 プログラムは六月上旬、小学生や園児の六人が参加して始まった。佐野市で有機農業に取り組む太田靖彦さん(56)の協力を得て、同月は二回、苗床づくりと田植えを体験した。また、おいしい米を作るために必要な要素や費用、無農薬米の魅力を伝えるパッケージデザインやキャッチフレーズを子供同士で話し合った。

 渡辺さんは「社会と教育をつなぐことが大切」と語り、知識偏重からの転換を唱える。人工知能(AI)の進歩で、今ある仕事がなくなるかもしれない。「子供たちが大人になったときに今のシステムで社会が回っているとは限らない」

 創造性を養うために有効と考えたのが起業家体験。農業を選んだのは、自然に触れながら自分の目に見える形でものを生み出せ、仕事に対する責任や作物に対する愛着から前向きな勤労観が育めるとみたからだ。農業には、過疎化や食品廃棄、環境問題など、現代の課題も絡む。プログラムには解決策を考える時間も組み込んでいる。

 森田千絵美さん(33)は、長男の凰雅(おうが)君(9つ)と長女の真宝(まほう)さん(6つ)を参加させている。「自分で生きていく力を身に付けてほしくて。お米がどれだけ苦労して作られているのかを知り、自分たちが作る米にどんな価格をつけるのか楽しみ」。凰雅君は「田植えは面白かった。自分のお米を食べてみたい」と話した。

 今月三十日には、無農薬米の良さを理解して買ってもらうための戦略を練る。プログラムへの参加など問い合わせは、エデュカチオ=電080(6684)8007=へ。