1点リードされた七回1死二、三塁のピンチで登板した。

 前日完投し、ここまで試合をつくってきた一年生左腕・和田朋也投手に「頼みます」と託されたマウンド。背番号「1」のプライドにかけて抑える−そんな思いで投げ込んだ。だが、昨年覇者・花咲徳栄打線は甘くない。自責点5。敗北を決定づけてしまった。

 一年生の冬、練習中に右肘に違和感が走った。病院で下された診断は靱帯(じんたい)断裂と疲労骨折だった。十六針を縫う手術とつらいリハビリに耐え、全力投球ができたのは二年生の冬だった。

 今大会が最初で最後の夏。だからこそ「絶対に甲子園に行く」との思いは人一倍強かった。肘の可動域を広げるトレーニングなどが実を結び、球速は140キロを超えた。さらに指先で3キロのダンベルを上下させて握力を強化。回転数が上がり球に伸びも加わった。強豪相手にも戦える自信をつけた。それなのに−。

 気持ちとは裏腹に大会に入ってから調子が上がらない。5回戦には初回に大崩れし3失点。前日の準々決勝は和田投手が先発完投勝利。山村学園初の4強入りに、自身は貢献できなかった。そして、この日も。

 「和田のためにも頑張りたかった。でもなんともならなかった」。止まらない涙が、夏への思いの大きさを物語った。 (牧野新)