「よっしゃあ」。141球目、最後の打者を併殺打に打ち取ると、エース左腕はマウンド上で両手の拳を握り、ガッツポーズを決めた。マウンドにはナインが集まり、喜びを分かち合った。

 一塁手として出場した昨夏の甲子園。同じ左腕で背番号「1」の早川隆久さん(現・早稲田大)の好投などで、木更津総合は8強入りを果たした。

 新チームになり、投手に転向したが、苦しい投球が続き、秋と春の県大会はいずれも敗退。「去年よりかなりレベルが落ちた」との批判も浴びた。「投手がぶれれば、チームもぶれる。自分が力を上げないと」。走り込みなどで体を鍛え直し、時には早川さんから投球術の教えも受け、夏の大会に備えた。

 決勝の相手は、夏の甲子園で二回の優勝経験を誇る伝統校の習志野。「疲れはなかった」というが、鋭いスイングで相手打線には直球を狙われた。「まっすぐを打ってきている」と、芦名望捕手(三年)が中盤にアドバイス。その後、スライダーを軸とする投球に切り替えた。

 100球を超えて「握力がなくなった」という八回にもピンチを招いたが、「ここを抑えればあと少しだ」と気迫の投球。芦名捕手の盗塁阻止などもあり、八回以降も無失点で抑えた。

 夏の県大会は4回戦から先発のマウンドに立った。チーム打率が4割に迫る打線の援護もあり、決勝まで5戦連続で完投した。夏の甲子園の目標は昨年を超える優勝。「早川さんのような投手にはまだなれないが、要所をしっかり抑えるような投球をしたい」と意気込みを語った。 (山口登史)