朝霞市の少女(16)を約二年にわたって誘拐したなどとして、未成年者誘拐、監禁致傷などの罪に問われた寺内樺風(かぶ)被告(24)の論告求刑公判。完全な責任能力があったかどうかが争われた裁判の最後の審理で、少女の母親や検察側が心に深い傷を負った少女の現状を訴えるたびに、寺内被告は笑ったような表情を見せるなど、挙動不審な動きを続けた。

 丸刈りに黒のスーツ姿で出廷した寺内被告。論告に先だって行われた少女の母親の意見陳述では、背筋を伸ばしたまま、一点を凝視し、耳を傾けていた。

 寺内被告の表情が一変したのは、救出後の少女の様子に話が及んだ時だ。

 「布団の中で縮こまり、悪夢にうなされ跳び起きることもあった」。母親が涙声で少女が負った心的外傷後ストレス障害について訴えると、突然口角を上げて、笑っているかのような表情を見せ、肩を上下に小刻みに揺らし始めた。

 検察側が少女が監禁のフラッシュバックにさいなまれていることを主張した際も、同様の表情を繰り返し、その後も首をせわしなく動かすなど落ち着きのない様子を見せた。

 眉ひとつ動かさず、無表情なままだった昨年九月の初公判からおよそ一年。最終陳述で「おなかがすきました」とだけ述べるなど、寺内被告の挙動は大きく変わった。

 だが、少女の父親は「娘は生きて帰ってきたが、精神的に殺された。綿密に犯行の準備もしており、責任能力がないなどあり得ない」と厳罰を求めた。 (西川正志)