習志野市に第1次世界大戦時、捕虜になったドイツ兵らの収容所があり、柵の内側ではオーケストラの旋律が響いていた−。そんな歴史を広く知ってもらおうと、地元の音楽家たちが8月3日、演奏会を開く。ちょうど100年前の1917年に生まれた曲も披露され、音楽家たちは「当時のドイツ兵たちに、思いをはせてみては」と話す。 (保母哲)

 演奏会を催すのは、「町の音楽好きネットワーク」のメンバー五人。プロの演奏家らが九六年に結成し、習志野市内でコンサートを開くなど活動してきた。ドイツ兵らが収容所で奏でた曲を市内で披露するのは、二〇〇八、一一年に続き三回目となる。

 今回出演するのは、いずれも習志野市在住か出身で、声楽は大田中早苗さんと戸田志香(ゆきこ)さん、バイオリンは樋口菜穂美さん、ピアノは林麻由美さんと三代川恭子さん。

 習志野捕虜収容所では捕虜に音楽活動が認められており、オーケストラが結成され、バイオリンの工房も開設されたという。一八一七年に生まれた詩人の作品を基に、当時、捕虜だった作曲家ハンス・ミリエス(一八八三〜一九五七年)が一九一七年に「閉じておくれ 僕の眼(まなこ)を」を作曲。今年は詩人の誕生から二百年目にもあたり、今年の演奏会で披露する。

 大田中さんらは「捕虜だったドイツ兵たちは、母国を思って音楽活動をしていたのかもしれない。(今回の演奏会が)収容所があったことなどを、地域の人に知ってもらう機会になれば」と話している。

 当日は、神戸大大学院教授時代、兵庫県内にあった青野原捕虜収容所について調べた大津留厚(おおつるあつし)さんのトークもある。

 「柵を越えたMUSIK(ムジーク=音楽)」と題した演奏会は八月三日午後二時、習志野市民会館で開演する。チケット代は前売り大人千七百円、子ども(小学生まで)千円で、当日は大人二千円、子ども千五百円。チケットの申し込み・問い合わせは、町の音楽好きネットワーク事務局=電090(3808)4163=へ。

 <習志野捕虜収容所> 中国・青島で捕虜となったドイツ兵らを、1915年から20年にかけて収容した施設。多いときには約1000人がいた。捕虜たちは音楽を楽しみ、捕虜でつくるオーケストラは所内で何度も演奏会を開催。サッカーやテニスなどのスポーツも楽しんだとされる。初代所長は西郷隆盛の長男である西郷寅太郎。