相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」の事件から1年となった26日。犠牲となった19人を悼むように雨が降り続ける中、園の前に設けられた献花台には入所者の家族や事件に衝撃を受けた障害者、地元住民らが絶え間なく訪れ、静かに手を合わせた。

  (井上靖史、加藤益丈、原昌志)

 「彼にとっても忘れられない一日だからね」。事件で四人が犠牲となった「いぶきホーム」に入所していた男性(45)の母親は、男性と一緒に献花に来た。

 母親は当初、一人で来るつもりだった。しかし、男性に「今日は二十六日だね」と語りかけると、男性は複数の入所者の名前を挙げて「あの子は死んじゃったね」「あの子は大けがしたね」と話したため、考え直したという。

 事件後、直接襲われなかった男性にも、言葉が出にくくなるなどの変化があった。現在は別の施設に入所して少し落ち着いている。ただ、園再建への道筋は見えないままで母親は不安を募らせる。「同じ規模で(建て替えて)とは言わないが、早く平穏な生活を取り戻してあげたい」

 知的・身体の重複障害があり、十五歳から事件があった昨年七月まで毎月、やまゆり園を短期入所で利用していた垂水(たるみず)亮太さん(28)と母の京子さん(60)=同市中央区=も献花に訪れた。

 知人三人が犠牲になったといい、京子さんは「悔しい。この子も経済的には役に立たないかもしれないけど、そういう人を支え合うのが社会。それを分かって下されば」と願った。

 脳性まひのため車いす生活を送る山田洋子さん(46)=東京都立川市=は、夫の久雄さん(44)と献花台に熱心に手を合わせ「つらかったね」と涙ながらに犠牲者に語りかけた。事件を境に、一時、人混みが怖くなったが「犯人の思うつぼ。立ち向かっていきたい」と、普通の生活を取り戻そうとしているという。

 黒岩祐治知事は園職員から入所者の近況を聞いた後、献花。「平穏を保っているように見えても心には深い傷を負っている。早く平穏な生活を取り戻されることを祈りたい」と話した。